2011 - 9 /19

Blogを移転します

  
このBlogを移転します。
古いエントリから新しいのまで、ひとつ残らず、ごっそり、根こそぎ、余すところなく、洗いざらい、一切合切、す・べ・て、こちらに移転します。
  
  
   Low life in High places.
   http://hamayo.wordpress.com/
  
  
さよならMovable Type ってことです。
wordpress.orgも試しにインストールしてみましたが、blogだけならwordpress.comでじゅうぶんってことがわかったので、こちらにしました。
  
  
古い記事は改行やレイアウトが狂って表示されるかもしれません。
というか、改行されてない記事もあります。
MTからのインポートでよくある話しらしいですが、それはもう大変で、
MT → blogger → XMLを手作業で編集 → Wordpress てな感じでやり遂げることができました。
もう二度と御免です。
正規表現なんて使うの何年ぶりかしら?、みたいな。
  
  
ここのコメント欄は凍結いたします。
来客の多いいくつかのエントリは、早急にリダイレクトさせるようにします。
その後、ここはすべて削除いたします。
  
  
それではまた。

投稿者 hamayo : 22:00 | トラックバック (0)

2011 - 9 /11

比布岳、北鎮岳、そしてお鉢、大雪山を満喫する

  
おはようキツネくん。
おはようキツネくん。
  
  
近くで音がすると思ったらキツネくんでした。
朝一番、テントを開けて動物と目が合うなんて、なんか素敵な一日が訪れる予感めいたものを感じます。
予感めいたもの・・・。予感めいたもの・・・。
  
  

続きを読む・・・

  
  
テントに寝ながらにしてこの空を見ることが出来る幸せ。
テントに寝ながらにしてこの空を見ることが出来る幸せ。
  
  
山頂の夜明けは良いって話しは以前にも書いたから何度も言わないけど、やっぱり山頂の夜明けは良いんですよ。
世界が動き出す瞬間を目撃しているという意識を持っているぼく自身が、その世界の真ん中に立っているという不思議な感覚は、「山頂」だけでもダメだし、「夜明け」だけでもいけなくて、山頂で朝をむかえることでしか体験できないものなのです。
  
    ・夜明けの比布岳からのパノラマ  
      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1267KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1257KB)
  
  
青紫の冷えた大気を肺が震えるほど吸い込んで、全身で太陽の光を浴びるのです。
目に見えない何かにおびえる、ひとりの山の夜。
そして、晴れがましく輝く、山の朝。
昼なんていらない、とまで言わないけれど。
  
  
昨夜のベッドはカリマットでした。まだ売ってるのかな。
昨夜のベッドはカリマットでした。まだ売ってるのかな。
  
  
黄色いスリーピングマットといえば、カリマットですよ。
え?、Neo Air だって?。
ふーん。
  
  
昨日の女性2人組は、となりのピーク安足間岳で枕を結んだようです。
テントをたたみ出発の準備をしているのが、ここからもかろうじて見ることが出来ます。
誰かがやってくる前に、ぼくも早いとこ出発しましょう。
  
  
おやおや。キツネくんがついてきます。そんな怖い顔すんなよー。
おやおや。キツネくんがついてきます。そんな怖い顔すんなよー。
  
  
結局このキツネ、前になり後ろになり、比布岳から鋸岳の巻き道までずっとついてきました。
相当広い縄張りのようです。
  
  
おはよう。そしてさようなら比布岳。
おはよう。そしてさようなら比布岳。
  
  
今日はたいした登りはありません。
北鎮岳の登り返しと間宮岳ぐらいのものです。
それでも日が高くなってくると、暑い。
昨日会ったパトロールのおやじさんによると、この3日間は8月下旬としてはそうとうな暑さらしいです。
  
    ・昨日はのんびりできなかった北鎮岳からのパノラマ  
      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1532KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1883KB)
  
  
  
そんじゃぼくも、お鉢巡りに出発。
そんじゃぼくも、お鉢巡りに出発。
  
  
この先ほとんど高低差がないものの、それなりにピークもあるので、なかなか楽しいトレイルです。
中岳、間宮岳、荒井岳、松田岳、北海岳と、次々に踏破していくわけですが、間宮岳と北海岳以外はどこが山頂なのかわかりません。
まぁ大雪山ってのは、こういうパッカーンと開ききった風景の中を、ゆるーく登ったり下ったりするのを楽しむ場所なんだと思いますよ。
愛別岳みたいなのは特別ですね。
  
  
北海岳山頂でセルフ。
北海岳山頂でセルフ。
  
  
正味な話し、風景に変化がなくて飽きてくるので、ときどき後ろ向きになったりしてリフレッシュします。
なんと後ろ向きに歩くと、お鉢が左から右に変わるんです!。
  
  
大雪の山の上とは思えない暑さと日照りのなか、稜線で食事するのは諦めて北海岳を下ります。
ここから約300m下ると北海沢の水場があるので、そこで昼食を摂ることにします。
えぇそうです。
そこで事件は起きるのですが、その顛末はすでに書き記したとおりです。
よく考えると、食事中に熊に出くわすというのも、そうとう運が悪い(あるいは運がいい)話しです。
  
  
水場の近くには、夏のなごりのクモマユキノシタ。
水場の近くには、夏のなごりのクモマユキノシタ。
  
  
こちらはチシマユキノシタ
こちらはチシマユキノシタ
  
  
同じくユキノシタの仲間の、ダイモンジソウという花が、ぼくはとても好きです。
最初に出会ったのは薬師沢小屋の近くで、手にしていた釣竿を投げ捨てて写真を撮りまくったことを覚えています。
この科の花は、華やかさはないし、目立たない、細くて小さな花ではあるんだけど、二次元に投影すると浮かび上がってくる、シンプルな造形の中の精密な細工が、たまらなくいとおしいのです。
  
  
北海沢を越えるともうひとつ、大きな流れをわたります。
お鉢平から流れてくる赤石川
  
  
お鉢平の水を集める赤石川です。
源流にあるのは、ヒグマさえ死ぬというその名も有毒温泉。
よって飲用不可だそうです。
それはともかくとして、森林限界より上部にこれだけ広い河原があるというのは、まったくもって大雪山らしい風景だと思います。
初夏の雪解けの頃の、水量が豊富なときの赤石川を見てみたいものです。
  
  
黒岳の山頂をすぎると大雪ともお別れです。
黒岳の山頂をすぎると大雪ともお別れです。
  
  
モアイ像を横目に見ながら、段差の多い下り坂。
モアイ像を横目に見ながら、黒岳の下り坂。
  
  
背中の荷物がやけに堪えると思ったら、ウェストベルトを締めていませんでした。
北海沢での熊騒動のとき以来ですから、怖くなかったと言いつつ冷静さを欠いていたのかなぁ。
  
  
ともあれ、リフトに乗ったら登山はおしまいです。
ともあれ、リフトに乗ったら登山はおしまいです。
  
  
二日間の、どっぷり大雪山が終わりました。
主役は愛別岳のはずだったのに、完全にヒグマに持っていかれた感じです。
  
  
今年の山は、狩場山での熊糞道があって、そして今回の遭遇と、熊の話には事欠かないシーズンでありました。
会う前も会ってからも、ヒグマが圧倒的な存在であることは変わらないし、できることなら遭遇しないに越したことはないという考えにも、変化はありません。
だけど山には必ずヒグマは棲んでいて、そういうエリアの真っ只中を歩いてるんだという自覚はより強く感じるようになったし、その緊張感みたいなものこそが、北海道の山に独特の雰囲気をもたらしているいるのは間違いないと、思うようになりました。
  
  
感動とか、畏怖とか、そういう言葉はむやみやたらに使うものではないんだけれど、やはり大雪山には、それがふさわしい言葉なんじゃないかな。
いろいろと、ありがたい山歩きでありました。
  
  
  
登山日:8月28日-29日
  
黒岳-愛別岳-お鉢巡り GPSトラック
黒岳-愛別岳-お鉢巡り GPSトラック
  
  
黒岳-愛別岳-お鉢巡り 断面図
黒岳-愛別岳-お鉢巡り 断面図
  

  
  
テントに寝ながらにしてこの空を見ることが出来る幸せ。
テントに寝ながらにしてこの空を見ることが出来る幸せ。
  
  
山頂の夜明けは良いって話しは以前にも書いたから何度も言わないけど、やっぱり山頂の夜明けは良いんですよ。
世界が動き出す瞬間を目撃しているという意識を持っているぼく自身が、その世界の真ん中に立っているという不思議な感覚は、「山頂」だけでもダメだし、「夜明け」だけでもいけなくて、山頂で朝をむかえることでしか体験できないものなのです。
  
    ・夜明けの比布岳からのパノラマ  
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青紫の冷えた大気を肺が震えるほど吸い込んで、全身で太陽の光を浴びるのです。
目に見えない何かにおびえる、ひとりの山の夜。
そして、晴れがましく輝く、山の朝。
昼なんていらない、とまで言わないけれど。
  
  
昨夜のベッドはカリマットでした。まだ売ってるのかな。
昨夜のベッドはカリマットでした。まだ売ってるのかな。
  
  
黄色いスリーピングマットといえば、カリマットですよ。
え?、Neo Air だって?。
ふーん。
  
  
昨日の女性2人組は、となりのピーク安足間岳で枕を結んだようです。
テントをたたみ出発の準備をしているのが、ここからもかろうじて見ることが出来ます。
誰かがやってくる前に、ぼくも早いとこ出発しましょう。
  
  
おやおや。キツネくんがついてきます。そんな怖い顔すんなよー。
おやおや。キツネくんがついてきます。そんな怖い顔すんなよー。
  
  
結局このキツネ、前になり後ろになり、比布岳から鋸岳の巻き道までずっとついてきました。
相当広い縄張りのようです。
  
  
おはよう。そしてさようなら比布岳。
おはよう。そしてさようなら比布岳。
  
  
今日はたいした登りはありません。
北鎮岳の登り返しと間宮岳ぐらいのものです。
それでも日が高くなってくると、暑い。
昨日会ったパトロールのおやじさんによると、この3日間は8月下旬としてはそうとうな暑さらしいです。
  
    ・昨日はのんびりできなかった北鎮岳からのパノラマ  
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そんじゃぼくも、お鉢巡りに出発。
そんじゃぼくも、お鉢巡りに出発。
  
  
この先ほとんど高低差がないものの、それなりにピークもあるので、なかなか楽しいトレイルです。
中岳、間宮岳、荒井岳、松田岳、北海岳と、次々に踏破していくわけですが、間宮岳と北海岳以外はどこが山頂なのかわかりません。
まぁ大雪山ってのは、こういうパッカーンと開ききった風景の中を、ゆるーく登ったり下ったりするのを楽しむ場所なんだと思いますよ。
愛別岳みたいなのは特別ですね。
  
  
北海岳山頂でセルフ。
北海岳山頂でセルフ。
  
  
正味な話し、風景に変化がなくて飽きてくるので、ときどき後ろ向きになったりしてリフレッシュします。
なんと後ろ向きに歩くと、お鉢が左から右に変わるんです!。
  
  
大雪の山の上とは思えない暑さと日照りのなか、稜線で食事するのは諦めて北海岳を下ります。
ここから約300m下ると北海沢の水場があるので、そこで昼食を摂ることにします。
えぇそうです。
そこで事件は起きるのですが、その顛末はすでに書き記したとおりです。
よく考えると、食事中に熊に出くわすというのも、そうとう運が悪い(あるいは運がいい)話しです。
  
  
水場の近くには、夏のなごりのクモマユキノシタ。
水場の近くには、夏のなごりのクモマユキノシタ。
  
  
こちらはチシマユキノシタ
こちらはチシマユキノシタ
  
  
同じくユキノシタの仲間の、ダイモンジソウという花が、ぼくはとても好きです。
最初に出会ったのは薬師沢小屋の近くで、手にしていた釣竿を投げ捨てて写真を撮りまくったことを覚えています。
この科の花は、華やかさはないし、目立たない、細くて小さな花ではあるんだけど、二次元に投影すると浮かび上がってくる、シンプルな造形の中の精密な細工が、たまらなくいとおしいのです。
  
  
北海沢を越えるともうひとつ、大きな流れをわたります。
お鉢平から流れてくる赤石川
  
  
お鉢平の水を集める赤石川です。
源流にあるのは、ヒグマさえ死ぬというその名も有毒温泉。
よって飲用不可だそうです。
それはともかくとして、森林限界より上部にこれだけ広い河原があるというのは、まったくもって大雪山らしい風景だと思います。
初夏の雪解けの頃の、水量が豊富なときの赤石川を見てみたいものです。
  
  
黒岳の山頂をすぎると大雪ともお別れです。
黒岳の山頂をすぎると大雪ともお別れです。
  
  
モアイ像を横目に見ながら、段差の多い下り坂。
モアイ像を横目に見ながら、黒岳の下り坂。
  
  
背中の荷物がやけに堪えると思ったら、ウェストベルトを締めていませんでした。
北海沢での熊騒動のとき以来ですから、怖くなかったと言いつつ冷静さを欠いていたのかなぁ。
  
  
ともあれ、リフトに乗ったら登山はおしまいです。
ともあれ、リフトに乗ったら登山はおしまいです。
  
  
二日間の、どっぷり大雪山が終わりました。
主役は愛別岳のはずだったのに、完全にヒグマに持っていかれた感じです。
  
  
今年の山は、狩場山での熊糞道があって、そして今回の遭遇と、熊の話には事欠かないシーズンでありました。
会う前も会ってからも、ヒグマが圧倒的な存在であることは変わらないし、できることなら遭遇しないに越したことはないという考えにも、変化はありません。
だけど山には必ずヒグマは棲んでいて、そういうエリアの真っ只中を歩いてるんだという自覚はより強く感じるようになったし、その緊張感みたいなものこそが、北海道の山に独特の雰囲気をもたらしているいるのは間違いないと、思うようになりました。
  
  
感動とか、畏怖とか、そういう言葉はむやみやたらに使うものではないんだけれど、やはり大雪山には、それがふさわしい言葉なんじゃないかな。
いろいろと、ありがたい山歩きでありました。
  
  
  
登山日:8月28日-29日
  
黒岳-愛別岳-お鉢巡り GPSトラック
黒岳-愛別岳-お鉢巡り GPSトラック
  
  
黒岳-愛別岳-お鉢巡り 断面図
黒岳-愛別岳-お鉢巡り 断面図
  

投稿者 hamayo : 21:46 | コメント (2) | トラックバック (0)

2011 - 9 / 6

愛別岳に登って時間切れになるも想定内

  
あまり知られてはいませんが、愛別岳は我が国最北の2000m峰だそうです。
そしてもうひとつ、大雪山の範囲をどこまでとするかにはいくつかの議論がありますが、石狩川をその境界とするならば愛別岳は大雪山北端の山となります。
  
愛別岳
  
  
主脈からは外れているものの、たおやかな山がほとんどを占める大雪山にあって傲然屹立とした山容は異色の存在であり、麓の大雪アンガス牧場から見る愛別岳は、絵に描いたようなアルプス的風景です。
  
  
ところがこの愛別岳、大雪山の登山中にはまずその全貌を見ることは出来ません。
というのも、大雪北方稜線から愛別岳へ向かう分岐点のほうが、愛別岳山頂よりも高いからです。
北方稜線が壁となってしまうわけです。
  
  
それゆえにこの愛別岳、目標を見ることなくはるばると歩を進め、本当にすぐ近くに来て突然その姿を目にするという、とても劇的な登山になることを期待して、計画を立てました。
まぁそうは言っても、山に行こうとしたのも計画を立てたのは直前なんですが。
  
  

続きを読む・・・

  
  
ここだけの話しですが、じつを言いますと黒岳リフトに乗ったのは初めてなんです。
じつを言いますと黒岳リフトに乗ったのは初めてなんです
  
  
今日はのんびり昼からスタートなので、リフトもロープウェイもばんばん使いますよ。
なんせ全行程25kmになる予定なので。
その長い道程のなかでも、いちばん長い登りが続くのはしょっぱなの黒岳への登りです。
  
  
黒岳まではちょっとヤル気の観光客も登ってくるので、整備は行き届いてます。
黒岳まではちょっとヤル気の観光客も登ってくるので、整備は行き届いてます。
  
  
そして黒岳山頂まで来て、やっと大雪の山々にご対面です。
そして黒岳山頂まで来て、やっと大雪の山々にご対面です。
  
  
日曜とあって黒岳山頂はまさしく黒山の人だかり。
ここもれっきとした大雪山の山頂なのに、なぜかデカザックは場違いな視線を浴びるので、滞在時間30秒で下ります。
  
  
石室も素通りして、雲の平(黒部源流にあるのは雲ノ平)はもうお花もほとんど咲いてなくて、なんだかよくわからないうちに通りぬけてしまい、あっという間にお鉢平カルデラの北東のリムに乗ります。
  
  
やっぱりお鉢平はデカイです。
やっぱりお鉢平はデカイです。
  
  
  
    ・お鉢平展望台からのパノラマ  
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北鎮岳へ向かうぼくは、お鉢巡りハイカーたちとはここでお別れです。
北鎮岳へ向かうぼくは、お鉢巡りハイカーたちとはここでお別れです。
  
  
ここから再びぐいっと登って、北鎮岳山頂は13時50分。
時間が押してきてるので先を急ぎたいところを、連続で写真撮って下さい攻撃と、せっかくなので撮ってあげますよ攻撃のコンボに合ってしまいます。
たしかに抜群の眺めなので、明日の帰路にじっくりくつろぐべ。
  
  
これから歩く鋸岳の巻き道。たしかに鋸ですな。
これから歩く鋸岳の巻き道。たしかに鋸ですな。
  
  
北鎮岳より先、めっきり人の気配がなくなります。
ここからはぼく1人だけだろうと思っていたら、同じくデカザックの女性2人組も今日中に愛別岳に登るとのこと。
この時間から北方稜線に進むというだけでも、ヘッドランプ点けて愛山渓に下山か?、というハードな行程が想像できますが、それに加えて愛別岳ピストンということになると、もうビバーク以外ありえません。
  
  
じつはさっき北鎮岳の山頂で彼女らと話したとき、お互いに「どこに泊まるの?」という質問をし、お互いに言葉を濁した(あんまり大きな声じゃ言えませんからね)ばかりですが、もはやこの時間にここにいるという事実は今夜のステルスキャンプを告白しているようなものですから、それぞれにテントが張れそうな場所の情報を話したりしつつ、静かな稜線を進みます。
  
  
徐々に寂しくなる北方稜線の尾根歩き。
徐々に寂しくなる北方稜線の尾根歩き。
  
  
鋸岳のウラシマツツジは紅葉が始まっていました。
鋸岳のウラシマツツジは紅葉が始まっていました。
  
  
比布平はチングルマの海。
比布平はチングルマの海。
  
  
だいぶ疲労も溜まってきて、たかだか150mの標高差の比布岳の登りで両足が痙ります。
それでも止まるわけにはいきません。
愛別岳への分岐到着のタイムリミットを16時としていたので、比布岳山頂もノンストップで稜線を西へ。
  
  
旭岳にも斜光線の当たる時間。
旭岳にも斜光線の当たる時間。
  
  
そしていよいよ、愛別岳の分岐です。
愛別岳の分岐
  
  
道ではなく、ただのザレ斜面です。
いちおう支点もあります。
おそらく愛別岳に登る多くの人がこの斜面を覗きこんで、ここを行っても大丈夫なのかと不安に思い、そして下まで降りてふり返ったときには、はたして自分は帰れるんだろうかと胸騒ぎを感じることでしょう。
ザックをデポし、カメラと行動食と水をクーリエバッグに詰めて、落石を500個ぐらい落としながらスキーみたいに滑っていきます。
  
  
斜面を下ると踏み跡があらわれ、行く手に凛々しいお姿が。
愛別岳の凛々しいお姿
  
  
くぅ~、しびれますなぁ。頂上部は完全に岩です。
愛別岳山頂部は完全に岩です
  
  
じつは山頂部分、右側(写真では影になっているほう)はハイマツがびっしり張り付いており、少し漕げば明瞭な踏み跡が見つかるので、そちらを行けばかなり安全に山頂を踏めます。
でもせっかく岩山に来たのですから、岩のほうを登りましょう。
ハイマツの方は、たぶん下りのルートですよ。
  
  
よし一気に山頂! と思ったものの、先に登ってた件の女性2人組と岩場でスライド。
こんな辺境の山でこんな時刻に、岩場の順番待ちになるなんて・・・。
  
  
16時30分、愛別岳の山頂に到着。
16時30分、愛別岳の山頂に到着。
  
  
頂上は意外と広くて、一張りならテントも張れます。
テン泊装備をここまで担ぐ気にはなれませんが。
  
  
歩いてきた道
歩いてきた道
  
  
マジで時間がないので、感傷とか達成感とかにひたる間もなく下ります。
  
  
最低鞍部まで下りきって、帰り道を仰ぎ見る。
愛別岳の鞍部から比布岳の稜線を仰ぎ見る
  
  
いったいどこを下ってきたのか。
そしてどこを登ればいいのやら。
  
  
ギターの弦みたいにアキレス腱を伸ばして登るザレ斜面。
登山靴にもクライミングサポートとかあればいいのにと、ただそればかり考えて、なんども休憩しながら最後の斜面を登り切ったときには、太陽が地平線に触れかけていました。
来るときに目をつけていた比布岳の北側の砂礫地へ向けて、再び荷を背負い重い足を引きずり、とぼとぼ歩きます。
  
  
テントを張り終えたときにはもう陽は沈んでいました。
テントを張り終えたときにはもう陽は沈んでいました。
  
  
くたくたです。
今夜はよく眠れそうです。
おやすみなさい。グゥ。。。
  

  
  
ここだけの話しですが、じつを言いますと黒岳リフトに乗ったのは初めてなんです。
じつを言いますと黒岳リフトに乗ったのは初めてなんです
  
  
今日はのんびり昼からスタートなので、リフトもロープウェイもばんばん使いますよ。
なんせ全行程25kmになる予定なので。
その長い道程のなかでも、いちばん長い登りが続くのはしょっぱなの黒岳への登りです。
  
  
黒岳まではちょっとヤル気の観光客も登ってくるので、整備は行き届いてます。
黒岳まではちょっとヤル気の観光客も登ってくるので、整備は行き届いてます。
  
  
そして黒岳山頂まで来て、やっと大雪の山々にご対面です。
そして黒岳山頂まで来て、やっと大雪の山々にご対面です。
  
  
日曜とあって黒岳山頂はまさしく黒山の人だかり。
ここもれっきとした大雪山の山頂なのに、なぜかデカザックは場違いな視線を浴びるので、滞在時間30秒で下ります。
  
  
石室も素通りして、雲の平(黒部源流にあるのは雲ノ平)はもうお花もほとんど咲いてなくて、なんだかよくわからないうちに通りぬけてしまい、あっという間にお鉢平カルデラの北東のリムに乗ります。
  
  
やっぱりお鉢平はデカイです。
やっぱりお鉢平はデカイです。
  
  
  
    ・お鉢平展望台からのパノラマ  
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北鎮岳へ向かうぼくは、お鉢巡りハイカーたちとはここでお別れです。
北鎮岳へ向かうぼくは、お鉢巡りハイカーたちとはここでお別れです。
  
  
ここから再びぐいっと登って、北鎮岳山頂は13時50分。
時間が押してきてるので先を急ぎたいところを、連続で写真撮って下さい攻撃と、せっかくなので撮ってあげますよ攻撃のコンボに合ってしまいます。
たしかに抜群の眺めなので、明日の帰路にじっくりくつろぐべ。
  
  
これから歩く鋸岳の巻き道。たしかに鋸ですな。
これから歩く鋸岳の巻き道。たしかに鋸ですな。
  
  
北鎮岳より先、めっきり人の気配がなくなります。
ここからはぼく1人だけだろうと思っていたら、同じくデカザックの女性2人組も今日中に愛別岳に登るとのこと。
この時間から北方稜線に進むというだけでも、ヘッドランプ点けて愛山渓に下山か?、というハードな行程が想像できますが、それに加えて愛別岳ピストンということになると、もうビバーク以外ありえません。
  
  
じつはさっき北鎮岳の山頂で彼女らと話したとき、お互いに「どこに泊まるの?」という質問をし、お互いに言葉を濁した(あんまり大きな声じゃ言えませんからね)ばかりですが、もはやこの時間にここにいるという事実は今夜のステルスキャンプを告白しているようなものですから、それぞれにテントが張れそうな場所の情報を話したりしつつ、静かな稜線を進みます。
  
  
徐々に寂しくなる北方稜線の尾根歩き。
徐々に寂しくなる北方稜線の尾根歩き。
  
  
鋸岳のウラシマツツジは紅葉が始まっていました。
鋸岳のウラシマツツジは紅葉が始まっていました。
  
  
比布平はチングルマの海。
比布平はチングルマの海。
  
  
だいぶ疲労も溜まってきて、たかだか150mの標高差の比布岳の登りで両足が痙ります。
それでも止まるわけにはいきません。
愛別岳への分岐到着のタイムリミットを16時としていたので、比布岳山頂もノンストップで稜線を西へ。
  
  
旭岳にも斜光線の当たる時間。
旭岳にも斜光線の当たる時間。
  
  
そしていよいよ、愛別岳の分岐です。
愛別岳の分岐
  
  
道ではなく、ただのザレ斜面です。
いちおう支点もあります。
おそらく愛別岳に登る多くの人がこの斜面を覗きこんで、ここを行っても大丈夫なのかと不安に思い、そして下まで降りてふり返ったときには、はたして自分は帰れるんだろうかと胸騒ぎを感じることでしょう。
ザックをデポし、カメラと行動食と水をクーリエバッグに詰めて、落石を500個ぐらい落としながらスキーみたいに滑っていきます。
  
  
斜面を下ると踏み跡があらわれ、行く手に凛々しいお姿が。
愛別岳の凛々しいお姿
  
  
くぅ~、しびれますなぁ。頂上部は完全に岩です。
愛別岳山頂部は完全に岩です
  
  
じつは山頂部分、右側(写真では影になっているほう)はハイマツがびっしり張り付いており、少し漕げば明瞭な踏み跡が見つかるので、そちらを行けばかなり安全に山頂を踏めます。
でもせっかく岩山に来たのですから、岩のほうを登りましょう。
ハイマツの方は、たぶん下りのルートですよ。
  
  
よし一気に山頂! と思ったものの、先に登ってた件の女性2人組と岩場でスライド。
こんな辺境の山でこんな時刻に、岩場の順番待ちになるなんて・・・。
  
  
16時30分、愛別岳の山頂に到着。
16時30分、愛別岳の山頂に到着。
  
  
頂上は意外と広くて、一張りならテントも張れます。
テン泊装備をここまで担ぐ気にはなれませんが。
  
  
歩いてきた道
歩いてきた道
  
  
マジで時間がないので、感傷とか達成感とかにひたる間もなく下ります。
  
  
最低鞍部まで下りきって、帰り道を仰ぎ見る。
愛別岳の鞍部から比布岳の稜線を仰ぎ見る
  
  
いったいどこを下ってきたのか。
そしてどこを登ればいいのやら。
  
  
ギターの弦みたいにアキレス腱を伸ばして登るザレ斜面。
登山靴にもクライミングサポートとかあればいいのにと、ただそればかり考えて、なんども休憩しながら最後の斜面を登り切ったときには、太陽が地平線に触れかけていました。
来るときに目をつけていた比布岳の北側の砂礫地へ向けて、再び荷を背負い重い足を引きずり、とぼとぼ歩きます。
  
  
テントを張り終えたときにはもう陽は沈んでいました。
テントを張り終えたときにはもう陽は沈んでいました。
  
  
くたくたです。
今夜はよく眠れそうです。
おやすみなさい。グゥ。。。
  

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2011 - 9 / 1

ヒグマ、もしくはウナギイヌとの遭遇


  ヒグマは賢い動物だ。
  だから人間を見たら逃げる。
  それにそもそも人と出くわさないように行動している。


昔からよく耳にする言葉だ。
逆の意見をとんと聞いたことがなかったので、ぼくはその言葉を信じていたし、そうあってほしいと願っていた。
好戦的な羊や、獰猛な鳩がいないのと同じように、'人を見かけたら向かってくるヒグマ' なんているわけないじゃないか。
ぼくはずっとそう思っていたのだ。
この日までは。


続きを読む・・・



北海岳から黒岳石室に向かって高度を下げ北海沢を渡った先は、この界隈ではきわめて貴重な水場のためベンチなども置かれており、休息するにはうってつけの場所になっている。
沢の対岸には高さ15m、横幅は300mの残雪があり、あたりの気温を下げてくれてもいた。


北海沢の水場



気温は高く陽射しも強く、微風さえそよがなかったこの日、ぼくは稜線で昼飯を食うのを嫌って、この場所まで食事をがまんしていた。
沢を渡った時点でここにいたのはぼくだけだったが、コーヒーを落としてパンを切りさて食べようとしたところに、石室方向から1人の登山者がやってきた。
大きな三脚を抱え、カメラを二台ぶら下げている彼を、便宜上カメラマン氏と呼ぶことにする。


ぼくはパンを食う。
カメラマン氏は被写体を探す。
なにも会話がないまま20分くらいの時間が流れただろうか、鳴き声をたよりに後ろの岩山にナキウサギの姿を探してるぼくに、カメラマン氏が初めて声を掛けてきた。


「熊、来ましたよ!」


振りかえると、対岸の残雪斜面の上に、黒く大きく、やたらと胴が長い獣がいるのが見えた。
じつを言うとこのときぼくは、巨大なウナギイヌが現れたと思ったのだ。
冗談ではなく、本当にウナギイヌに見えたのだ。
その日のツイッターのTLに、バカボンの話が流れてたから、そのせいかもしれない。


たぶん、先に相手に気付いたのはぼく達の方だ。
そいつの姿を認識したとき、相手はまだ斜面のてっぺんを、地面にある何かを探すような動きでのそのそと歩いていた。
沢の音が大きいので、こちらの出す物音や声は聞こえないのだろう。
だがカメラマン氏が立ててあった三脚の方へ移動し、クイックリリースのレバーを倒しカメラを三脚から取り外したその時、ついにヤツはこちらの存在に気付いてしまった。


鈍重なウナギイヌが豹変した。
ジャンプするように雪の斜面に飛び込むと、こちらへ向かって滑り落ちてくる。


残雪を滑り降りるヒグマ




途中で何度も前転して側転して、とてつもなく無様な滑りようではあったが、体勢を立てなおすたびにくいっとこちらに顔を向けるそのさまは、ターゲットの場所をいちいち確認しているようにしか見えず、気味の悪いことこの上ない。


川岸に降りてからのヤツは、さらに不気味な動きをし始めた。
何をしているのか分からないが、ウィービングするボクサーみたいに上体をゆすっていたかと思えば、唐突にこちらにダッシュしてくるふりをする。
視線を合わしているかぎりそれ以上近寄ってこようとはしないが、目をそらすといきなりこちらに向かって走ってくる。
命懸けのダルマさんが転んだ、である。


そうやって少しずつ間合いを詰め、ついにヤツは水辺まで来てしまった。
距離はどのくらいだろうか。
野球で言えば、ピッチャーからキャッチャーまでよりは遠いが、キャッチャーからセカンドまでは離れていない。
いずれにしても、あのスピードなら3秒あればここまで到達されてしまうのは確実だ。
お互いの間を沢が隔ててはいたが、靴を濡らさずに飛び越せるていどの幅しかないので、戦略的に重要な要素にはなりそうもなかったし、どちらかにアドバンテージをもたらすものでもなかった。


ぼくらと熊とには一つだけ共通点があった。
お互いに背水の陣を布いているということだ。
相手はほとんど壁のような雪の斜面を、滑るというよりも滑落してきており、これを登り返すのは無理だ。
一方こちらは背後に岩山を背負っていた。
軽自動車ほどの大きさの岩塊が無数に積み上げられた岩山だ。
時間をかければ登れるが、もちろん時間なんてかけられない。


どう考えてみても、絶望的に不利な地形にいることは確かだ。
三国志演義で、知将が相手を罠にはめて谷沿いの隘路に誘い込み、ボコボコにするシーンが思い出される。
逃げ場がないという、いちばん出会いたくない場所で、出会ってしまったわけだ。


沢をはさんでの睨み合いは続く。
視線というか顔の向きに反応することは分かったが、ほかにもカメラを構えるとビクッとして後ずさりしたり、横を向いて逃げようとするそぶりを見せることも分かってきた。
こちらに興味を持っていることは間違いないとはいえ、やはり熊も少しはこちらのことを恐れているのかもしれない。


しかしそれでも、お互いの距離に大きな変化はない。
それどころか、沢の水に顔を近づけ始めた。
沢を渡ってこられると、もはや白兵戦しかないというこの場面で、カメラマン氏がザックの中からカウンターアソールトを取り出そうと動いた。


それを見た熊の反応は、まさしく電光石火と形容するにふさわしいものだった。
地球の自転の向きが変わるんじゃないかと思うくらい鋭く地面を蹴って向きを変えると、沢の下流の方へ猛スピードで走り出し、40mほど離れたあたりで沢を渡った。


逃げるヒグマ




そのあとがまた凄い。
沢沿いの登山道には両脇にロープが張られているのだが、そのロープをまるで鹿のように飛び越えてしまったのだ。
あの巨大な体躯のヒグマの、両手両足がともに地面から離れ、一瞬とはいえ空中を飛んだのだ。


熊は止まらない。
ぼく達の背後の岩山を、軽やかに、まったくスピードを落とさず、駆け上がっていく。
バランスを崩したりルートを思案する様子は微塵もなく、飛ぶように跳ねるように、20秒ほどで岩山の頂上まで登り切ってしまった。
頂上でいったん立ち止まった熊はこちらへ向きを直し、砦を奪取した酋長のような顔であたりを睥睨していたが、しばらくすると視界から消えた。
もうどこにも熊の気配はない。
水場には、またもとの平穏が帰ってきたのだ。



/////////////////////////////////////////////////////////////


ヒグマとの遭遇、これがその顛末です。
じつを言うと、恐怖はほとんど感じませんでした。
一瞬たりとも気を抜けない、手に汗にぎる場面であったのは間違いないのですが、怖いという感覚は起きませんでした。


それよりも、大型獣とは思えない身のこなしに対する驚嘆が、いちばん大きかったです。
そして間近でヒグマに出会えたことの感動と、「人を見たら逃げる」なんて大ウソやがな、というツッコミ。
これがその時のぼくの頭の中のすべてでした。


今までだって、林道から藪に逃げ込む姿を目撃したことはありましたが、そういう熊はまったくスピードを感じさせない、どっこいしょという声が聞こえてきそうな動きだったと記憶しています。
それに比べたら今回出会った熊は、まったく別の生物種です。
森林限界の上に棲むヒグマはこれほどまでに俊敏に動けるのか・・・。
ありとあらゆる感嘆の言葉を、口に出さずにはいられませんでした。


ひさしぶりに心ふるわせる出来事でした。
またヒグマに会いたい、人里と隔絶された本当の野生のヒグマをまた見てみたいと、そう思っています。
でも確率的に言って、今後これほど近い距離でヒグマに出会えることは、もう二度とないでしょう。


なのでぼくは、10年後、20年後、どこかの山小屋で武勇伝を語る日が来るのを楽しみに待つことにします。
大雪山の北海沢で熊とがっぷり四つに組んで死闘を繰り広げ、最後は小手投げで熊を組み伏せた話しをしているジジイがいたら、それはたぶん、ぼくです。
その物語は、熊のヤツ肘をさすりながら山に帰っていったよ、と結ばれているはずです。



北海岳から黒岳石室に向かって高度を下げ北海沢を渡った先は、この界隈ではきわめて貴重な水場のためベンチなども置かれており、休息するにはうってつけの場所になっている。
沢の対岸には高さ15m、横幅は300mの残雪があり、あたりの気温を下げてくれてもいた。


北海沢の水場



気温は高く陽射しも強く、微風さえそよがなかったこの日、ぼくは稜線で昼飯を食うのを嫌って、この場所まで食事をがまんしていた。
沢を渡った時点でここにいたのはぼくだけだったが、コーヒーを落としてパンを切りさて食べようとしたところに、石室方向から1人の登山者がやってきた。
大きな三脚を抱え、カメラを二台ぶら下げている彼を、便宜上カメラマン氏と呼ぶことにする。


ぼくはパンを食う。
カメラマン氏は被写体を探す。
なにも会話がないまま20分くらいの時間が流れただろうか、鳴き声をたよりに後ろの岩山にナキウサギの姿を探してるぼくに、カメラマン氏が初めて声を掛けてきた。


「熊、来ましたよ!」


振りかえると、対岸の残雪斜面の上に、黒く大きく、やたらと胴が長い獣がいるのが見えた。
じつを言うとこのときぼくは、巨大なウナギイヌが現れたと思ったのだ。
冗談ではなく、本当にウナギイヌに見えたのだ。
その日のツイッターのTLに、バカボンの話が流れてたから、そのせいかもしれない。


たぶん、先に相手に気付いたのはぼく達の方だ。
そいつの姿を認識したとき、相手はまだ斜面のてっぺんを、地面にある何かを探すような動きでのそのそと歩いていた。
沢の音が大きいので、こちらの出す物音や声は聞こえないのだろう。
だがカメラマン氏が立ててあった三脚の方へ移動し、クイックリリースのレバーを倒しカメラを三脚から取り外したその時、ついにヤツはこちらの存在に気付いてしまった。


鈍重なウナギイヌが豹変した。
ジャンプするように雪の斜面に飛び込むと、こちらへ向かって滑り落ちてくる。


残雪を滑り降りるヒグマ




途中で何度も前転して側転して、とてつもなく無様な滑りようではあったが、体勢を立てなおすたびにくいっとこちらに顔を向けるそのさまは、ターゲットの場所をいちいち確認しているようにしか見えず、気味の悪いことこの上ない。


川岸に降りてからのヤツは、さらに不気味な動きをし始めた。
何をしているのか分からないが、ウィービングするボクサーみたいに上体をゆすっていたかと思えば、唐突にこちらにダッシュしてくるふりをする。
視線を合わしているかぎりそれ以上近寄ってこようとはしないが、目をそらすといきなりこちらに向かって走ってくる。
命懸けのダルマさんが転んだ、である。


そうやって少しずつ間合いを詰め、ついにヤツは水辺まで来てしまった。
距離はどのくらいだろうか。
野球で言えば、ピッチャーからキャッチャーまでよりは遠いが、キャッチャーからセカンドまでは離れていない。
いずれにしても、あのスピードなら3秒あればここまで到達されてしまうのは確実だ。
お互いの間を沢が隔ててはいたが、靴を濡らさずに飛び越せるていどの幅しかないので、戦略的に重要な要素にはなりそうもなかったし、どちらかにアドバンテージをもたらすものでもなかった。


ぼくらと熊とには一つだけ共通点があった。
お互いに背水の陣を布いているということだ。
相手はほとんど壁のような雪の斜面を、滑るというよりも滑落してきており、これを登り返すのは無理だ。
一方こちらは背後に岩山を背負っていた。
軽自動車ほどの大きさの岩塊が無数に積み上げられた岩山だ。
時間をかければ登れるが、もちろん時間なんてかけられない。


どう考えてみても、絶望的に不利な地形にいることは確かだ。
三国志演義で、知将が相手を罠にはめて谷沿いの隘路に誘い込み、ボコボコにするシーンが思い出される。
逃げ場がないという、いちばん出会いたくない場所で、出会ってしまったわけだ。


沢をはさんでの睨み合いは続く。
視線というか顔の向きに反応することは分かったが、ほかにもカメラを構えるとビクッとして後ずさりしたり、横を向いて逃げようとするそぶりを見せることも分かってきた。
こちらに興味を持っていることは間違いないとはいえ、やはり熊も少しはこちらのことを恐れているのかもしれない。


しかしそれでも、お互いの距離に大きな変化はない。
それどころか、沢の水に顔を近づけ始めた。
沢を渡ってこられると、もはや白兵戦しかないというこの場面で、カメラマン氏がザックの中からカウンターアソールトを取り出そうと動いた。


それを見た熊の反応は、まさしく電光石火と形容するにふさわしいものだった。
地球の自転の向きが変わるんじゃないかと思うくらい鋭く地面を蹴って向きを変えると、沢の下流の方へ猛スピードで走り出し、40mほど離れたあたりで沢を渡った。


逃げるヒグマ




そのあとがまた凄い。
沢沿いの登山道には両脇にロープが張られているのだが、そのロープをまるで鹿のように飛び越えてしまったのだ。
あの巨大な体躯のヒグマの、両手両足がともに地面から離れ、一瞬とはいえ空中を飛んだのだ。


熊は止まらない。
ぼく達の背後の岩山を、軽やかに、まったくスピードを落とさず、駆け上がっていく。
バランスを崩したりルートを思案する様子は微塵もなく、飛ぶように跳ねるように、20秒ほどで岩山の頂上まで登り切ってしまった。
頂上でいったん立ち止まった熊はこちらへ向きを直し、砦を奪取した酋長のような顔であたりを睥睨していたが、しばらくすると視界から消えた。
もうどこにも熊の気配はない。
水場には、またもとの平穏が帰ってきたのだ。



/////////////////////////////////////////////////////////////


ヒグマとの遭遇、これがその顛末です。
じつを言うと、恐怖はほとんど感じませんでした。
一瞬たりとも気を抜けない、手に汗にぎる場面であったのは間違いないのですが、怖いという感覚は起きませんでした。


それよりも、大型獣とは思えない身のこなしに対する驚嘆が、いちばん大きかったです。
そして間近でヒグマに出会えたことの感動と、「人を見たら逃げる」なんて大ウソやがな、というツッコミ。
これがその時のぼくの頭の中のすべてでした。


今までだって、林道から藪に逃げ込む姿を目撃したことはありましたが、そういう熊はまったくスピードを感じさせない、どっこいしょという声が聞こえてきそうな動きだったと記憶しています。
それに比べたら今回出会った熊は、まったく別の生物種です。
森林限界の上に棲むヒグマはこれほどまでに俊敏に動けるのか・・・。
ありとあらゆる感嘆の言葉を、口に出さずにはいられませんでした。


ひさしぶりに心ふるわせる出来事でした。
またヒグマに会いたい、人里と隔絶された本当の野生のヒグマをまた見てみたいと、そう思っています。
でも確率的に言って、今後これほど近い距離でヒグマに出会えることは、もう二度とないでしょう。


なのでぼくは、10年後、20年後、どこかの山小屋で武勇伝を語る日が来るのを楽しみに待つことにします。
大雪山の北海沢で熊とがっぷり四つに組んで死闘を繰り広げ、最後は小手投げで熊を組み伏せた話しをしているジジイがいたら、それはたぶん、ぼくです。
その物語は、熊のヤツ肘をさすりながら山に帰っていったよ、と結ばれているはずです。

投稿者 hamayo : 22:05 | コメント (8) | トラックバック (0)

2011 - 8 / 3

プンパニッケル、とどく



以前にも書いた、食工房さんのパンが、福島からおくられてきました。
食工房さんのパンが、福島からおくられてきました。

思いがけないごちそうです。

続きを読む・・・




今回は、こんな感じで食べてみます。
左から、山牛蒡の味噌漬け、ラタトゥイユ、胡瓜の甘酒漬けです。


左から、山牛蒡の味噌漬け、ラタトゥイユ、胡瓜の甘酒漬けです。


ラタトゥイユは、前々からこれはプンパニッケルに合うに決まってると思ってて、ずっと試してみたかったのです。
山牛蒡の味噌漬けは、これも味噌漬けを単体で食べてるときから、ライ麦パンと一緒に食べたいなぁと思い続けていたもので、今回ようやく実現しました。


思ったとおり、ドンピシャにおいしかったです。
ラタトゥイユも牛蒡の味噌漬けも、やや酸味がある食べ物なので、それがプンパニッケルの酸味に合うのでしょうか。
ザワークラウトやニシンの酢漬けが定番であることを考えると、まんざら外してないかもしれません。


胡瓜の甘酒漬けは・・・・、胡瓜のまま食べた方がおいしいですね。
甘酒に漬けると、ものすごく繊細な風味が何層にも重なる感じで口の中に広がるのですが、その薄膜感たるや、まるで雲母のような儚さなので、なにかと一緒に食べるものではないような気がしました。


ところで、以前に食工房さんのパンの記事を書いたとき、ニシンの酢漬けがピッタリだと言ったのですが、どうもあれはニシンの山椒漬けだったようです。
ニシンの山椒漬けというのは、福島県は会津地方の郷土食です。


 福島県スローフード連絡協議会:にしんの山椒漬け
 http://www.fukushima-sf.com/data/nishinnosanshouduke.html



だけどぼくが北欧で、くる日もくる日も食べ続けたのもニシンの酢漬けで、それと山椒漬けは「まったく同じ」と言っていいくらいにそっくりな味だったのです。
たしかに北欧のものもスパイスがきいてはいましたが、まさか山椒ではないですよね。
調べたわけじゃないけれど、北欧と会津には、過去にさかのぼってもおそらく接点はないんじゃないでしょうか。
まったくもって、料理ってのは不思議なものですね。




今回は、こんな感じで食べてみます。
左から、山牛蒡の味噌漬け、ラタトゥイユ、胡瓜の甘酒漬けです。


左から、山牛蒡の味噌漬け、ラタトゥイユ、胡瓜の甘酒漬けです。


ラタトゥイユは、前々からこれはプンパニッケルに合うに決まってると思ってて、ずっと試してみたかったのです。
山牛蒡の味噌漬けは、これも味噌漬けを単体で食べてるときから、ライ麦パンと一緒に食べたいなぁと思い続けていたもので、今回ようやく実現しました。


思ったとおり、ドンピシャにおいしかったです。
ラタトゥイユも牛蒡の味噌漬けも、やや酸味がある食べ物なので、それがプンパニッケルの酸味に合うのでしょうか。
ザワークラウトやニシンの酢漬けが定番であることを考えると、まんざら外してないかもしれません。


胡瓜の甘酒漬けは・・・・、胡瓜のまま食べた方がおいしいですね。
甘酒に漬けると、ものすごく繊細な風味が何層にも重なる感じで口の中に広がるのですが、その薄膜感たるや、まるで雲母のような儚さなので、なにかと一緒に食べるものではないような気がしました。


ところで、以前に食工房さんのパンの記事を書いたとき、ニシンの酢漬けがピッタリだと言ったのですが、どうもあれはニシンの山椒漬けだったようです。
ニシンの山椒漬けというのは、福島県は会津地方の郷土食です。


 福島県スローフード連絡協議会:にしんの山椒漬け
 http://www.fukushima-sf.com/data/nishinnosanshouduke.html



だけどぼくが北欧で、くる日もくる日も食べ続けたのもニシンの酢漬けで、それと山椒漬けは「まったく同じ」と言っていいくらいにそっくりな味だったのです。
たしかに北欧のものもスパイスがきいてはいましたが、まさか山椒ではないですよね。
調べたわけじゃないけれど、北欧と会津には、過去にさかのぼってもおそらく接点はないんじゃないでしょうか。
まったくもって、料理ってのは不思議なものですね。

投稿者 hamayo : 21:54 | コメント (2) | トラックバック (0)

2011 - 7 /30

おたる潮まつり・・・の近く



潮まつりに出掛けてきて、お祭りを撮ってきませんでした。
祭りの周辺というか、外縁というか、そこいらへんの写真です。
あまのじゃくでごめんなさい。


ドアを開けて下され
ドアを開けて下され



火の人
火の人



ガラス市
ガラス市



昼の浮き球
昼の浮き球



人がいた跡
人がいた跡



海月-くらげ-
海月-くらげ-



投稿者 hamayo : 18:12 | コメント (2) | トラックバック (0)

2011 - 7 /14

アンギラスは主役、ニセイカウシュッペ山は脇役



どうしてこの山には名前が無いのだろうかと不思議に思う山はいくつかありますが、北大雪はニセイカウシュッペ山の東に聳え立つ岩山は、まさにその最たるものだと思うのです。


ニセイカウシュッペ山の東に聳える岩山




山頂部にいくつもの岩塔を従えた姿は、まるで北の八ツ峰。
それはいくらなんでも褒めすぎだろうというのなら、北のエギーユ・デュ・ミディ。
いえ、ウソです。すんません。


いずれにしても、もともと岩峰に乏しい北海道では、こういう凛々しい山はそうそうお目にかかれないので、ニペソツ、芦別岳、利尻岳に次ぐ地位を与えられてもいいんじゃないかと思うのですが、なんせ正式な名前が無いのです。


しかし正式な名はなくても通称名はあります。
誰が呼んだかアンギラス。
おそらく北海道の岳人たちも、名前がなけりゃ話しもしにくいということで、いつしかこの呼び方が定着していったのでしょう。
いちおう補足しておくと、軍艦山という冴えない呼び名もあるようです。


というわけで、今回の山行の主役はニセイカウシュッペ山ではなく、アンギラスなのです。



続きを読む・・・





歩き始めは、林道がそのまま延長されたような、なだらかな道を行きます。
こないだの狩場とは比べものにならない、しっかりとした道です(というかあれは道でさえなかった)。


郵便屋さんならカブに乗って配達してくれそうな道なのです。
郵便屋さんならカブに乗って配達してくれそうな道なのです。



少しずつ道は細くなり、段差やぬかるみ、倒木なども出てくるのですが、斜度は変わらずゆるいままなのでいつまでもダラダラ。
登ってる感じがあまりしない道でもあります。


てくてくと、散歩気分で1時間、ようやくニセイカウシュッペ山が見えてきました。
どれがニセイカウシュッペ山?。さぁ。。。
散歩気分で1時間、ようやくニセイカウシュッペ山が見えてきました

UFOみたいなのが写ってるのは、ブユです。
暑いのガマンしてここまで長袖で登ってきたけれど、もう汗だくでこりゃかなわんと腕まくりした途端にブユが集ってきます。


木々が低くなり、だんだんと岩まじりの道になって、見晴台という絶対に見晴らしがいいに決まってる場所に到着です。
見晴台から見る表大雪の山々

左から、赤岳、白雲岳、黒岳、北海、凌雲、北鎮、鋸、比布(北斜面の残雪の多さには驚愕)。
雲の中に国立峰と愛別岳かな。


というかあなたたち、誰でもいいからアンギラスに名前を分けてあげてくださいな。
こっちはニセイカウシュッペ、アンギラス、平山、ひまな山、ヒマラヤマ、ですよ。
学生プロレスが組んだロックバンドみたいじゃないですか。
ボーカルだけ本名だし。


それはさておき、すいすいと快適な尾根道を進み、1560mピークを巻くあたりまで来ると、眼前になんだかイカツい岩山の登場です。


イカツい岩山。もちろん名前はないが、いちおう大槍と呼ばれています。
イカツい岩山。もちろん名前はないが、いちおう大槍と呼ばれています。

主峰を差しおいて大槍を名乗るとは、いい根性してますよ。


登山道は大槍を通らず、肩を巻いて登っていきます。
大槍の山頂へ続く薄い踏み跡もありますが、イワイワなので登ろうと思えば適当に登れそうです。


大槍から層雲峡に向かって落ちていく尾根と、小槍。
ちゃんと小槍まであるんです。
大槍から層雲峡に向かって落ちていく尾根と、小槍。

なるほど大槍はジャンクションピークなんだな。
支尾根にしてはなかなか秀麗なシェイプをしてまして、真冬のナイフリッジを想像すると背筋がぞくぞくします。
もちろんぼくには歩けませんが。


左を見れば、いよいよニセイカウシュッペも迫ってきます。
茅刈別第三支川の長い雪渓に想像がふくらみます

これまた山体よりも、ゆるく弧を描いて山頂直下までのび上がる白い雪渓に、いろんな想像が膨らむというもんです。
茅刈別第三支川。
この時期でも写真にある末端よりはるか下まで雪は続いているので、あと半月ほど早ければ、白馬大雪渓と肩を並べる全長4km~5km、標高差800m~1000mの長ーい雪渓歩きが楽しめそうな予感に胸がときめきます。


大槍を越えたあたりがちょうど森林限界で、山頂まではあと少し。


お花畑に寄り道したりしながら。
お花畑に寄り道したりしながら。



ニセイカウシュッペ山頂に到着です。
ニセイカウシュッペ山頂。

三角点に腰を下ろす不届き者と思われるかもしれませんが、たぶん空気椅子です。
大腿四頭筋がプルプル動いてるでしょ?。


それからオイルサーディンとか食って。
オイルサーディンを山で食う



さぁ、アンギラスへ。
といっても登山道はありません。
踏み跡はいくつもあるのですが、そもそも地図にも道がないのでどこへ向かえばよいのか分からないのです。
Twitterつながりの、ぎょさんからアドバイスいただいたりしつつ、いざハイマツ藪に突入。
けっきょく正解だったのは、キジ撃ち道でした。
目印は真っ白なペーパーでございます。


腰丈のハイマツ藪を漕いでいくと、アンギラスの登場です。
腰丈のハイマツ藪を漕いでいくと、アンギラスの登場です。



もう少し進んでいくと、ネマガリ藪の急斜面に出くわします。
ここは一気に鞍部に向かって、転がるように下りていきます。
あ、すいません間違えました。鞍部に向かって、転がり落ちていきます。
下に着いて振り返って、こんなところ登り返すのかやめときゃ良かったと後悔する、そういう斜面です。


鞍部から見上げるアンギラス。男前やなぁ。
鞍部から見上げるアンギラス。男前やなぁ。



そしていよいよ、リトル・ミディに取り付きます。
どきどき。
でもじつは中間点までは、ハイマツがびっしり生えているので岩山という感じはなく、それほど緊張する箇所はありません。
パンツが松ヤニだらけになるだけです。


落ちたらアウトかも、って岩場は2箇所。
それもほんの数メートルだけです。
ホールドは少ないですが、みんながそれを使うせいかそこだけ色が変わっているので、答えが書いてある試験問題みたいなものです。


ぞくぞく。
ぞくぞく。ぶるぶる。



うほっほ。
うほっほ。ぶるぶる。



アンギラスの頂上からの眺めは、そりゃあもう爽快のひとことです。



    ・アンギラスの頂上からの景色

      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1715KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1700KB)



こうして山の上からの眺めを見て思うのは、この山は地上からは見ることができない、あるいは一部しか見えないんじゃないだろうか、ということです。
北海道がいくら広大だと言っても、名のあるほとんどの山は頂上から下界を見下ろせば、どこかしらの町や道路が見えるものです。
ところがアンギラスの頂上からは、そういうものが見えないのです。
だとすれば、これだけ威厳のある山容なのに名前が付かなかったことにも合点がいきます。


さて、だいぶ時間も押しているので、長居はせずに戻ります。
岩場は下りの方がおっかないから、慎重に、慎重に。


行きは前しか見てなかったから気付かなかったけど、こんな山を背負って登ってきたのか。
行きは前しか見てなかったから気付かなかったけど、こんな山を背負って登ってきたのか。

これは大槍を反対側から見た姿です。
主峰のニセイカウシュッペ山が、膨れそこないのシュークリームみたいな鈍頂だったことを考えれば、尾根の途中の一ピークが大槍を名乗ったとしてもやむなしという気がします。


鞍部まで下って雪の上で一息入れて、さきほど来るとき転がり落ちるように転がり落ちたネマガリ急斜面を、死にもの狂いで直登します。
びっしりと下向きに生えたネマガリ藪を登っていると、気管支の繊毛運動によって排出されていく異物になった気分です。


稜線まで戻れば、あとはもう立派な登山道を下るだけです。


午後3時を回って、表大雪の兄貴達に斜光線が当たっています。
午後3時を回って、表大雪の兄貴達に斜光線が当たっています。



樹林帯の中に注がれる光もやわらかくなる時間です。
樹林帯の中に注がれる光もやわらかくなる時間です。



無事に下山して、長い長い林道をとことこ走り、町に着くころには日暮れの時間。
無事に下山して、長い長い林道をとことこ走り、町に着くころには日暮れの時間。



汗だくになって、ブユに刺されて、パンツもシャツも松ヤニにまみれて、道のないところを歩いてくたくたになって、北国の短い夏の長い一日を、山にどっぷりとつかって過ごしたあとに見る夕焼けは、いつもの夕暮れの空よりも、100倍きれいに輝いていました。
だからこの後、町のお店が軒並み閉まってて、晩御飯が焼きそばUFO(賞味期限切れで半額)しかなかったことも、仕方ないさと笑って許します。




登山日:2011年7月7日

アンギラスとニセイカウシュッペ山 GPSトラック
アンギラスとニセイカウシュッペ山 GPSトラック




アンギラスとニセイカウシュッペ山 断面図
アンギラスとニセイカウシュッペ山 断面図







歩き始めは、林道がそのまま延長されたような、なだらかな道を行きます。
こないだの狩場とは比べものにならない、しっかりとした道です(というかあれは道でさえなかった)。


郵便屋さんならカブに乗って配達してくれそうな道なのです。
郵便屋さんならカブに乗って配達してくれそうな道なのです。



少しずつ道は細くなり、段差やぬかるみ、倒木なども出てくるのですが、斜度は変わらずゆるいままなのでいつまでもダラダラ。
登ってる感じがあまりしない道でもあります。


てくてくと、散歩気分で1時間、ようやくニセイカウシュッペ山が見えてきました。
どれがニセイカウシュッペ山?。さぁ。。。
散歩気分で1時間、ようやくニセイカウシュッペ山が見えてきました

UFOみたいなのが写ってるのは、ブユです。
暑いのガマンしてここまで長袖で登ってきたけれど、もう汗だくでこりゃかなわんと腕まくりした途端にブユが集ってきます。


木々が低くなり、だんだんと岩まじりの道になって、見晴台という絶対に見晴らしがいいに決まってる場所に到着です。
見晴台から見る表大雪の山々

左から、赤岳、白雲岳、黒岳、北海、凌雲、北鎮、鋸、比布(北斜面の残雪の多さには驚愕)。
雲の中に国立峰と愛別岳かな。


というかあなたたち、誰でもいいからアンギラスに名前を分けてあげてくださいな。
こっちはニセイカウシュッペ、アンギラス、平山、ひまな山、ヒマラヤマ、ですよ。
学生プロレスが組んだロックバンドみたいじゃないですか。
ボーカルだけ本名だし。


それはさておき、すいすいと快適な尾根道を進み、1560mピークを巻くあたりまで来ると、眼前になんだかイカツい岩山の登場です。


イカツい岩山。もちろん名前はないが、いちおう大槍と呼ばれています。
イカツい岩山。もちろん名前はないが、いちおう大槍と呼ばれています。

主峰を差しおいて大槍を名乗るとは、いい根性してますよ。


登山道は大槍を通らず、肩を巻いて登っていきます。
大槍の山頂へ続く薄い踏み跡もありますが、イワイワなので登ろうと思えば適当に登れそうです。


大槍から層雲峡に向かって落ちていく尾根と、小槍。
ちゃんと小槍まであるんです。
大槍から層雲峡に向かって落ちていく尾根と、小槍。

なるほど大槍はジャンクションピークなんだな。
支尾根にしてはなかなか秀麗なシェイプをしてまして、真冬のナイフリッジを想像すると背筋がぞくぞくします。
もちろんぼくには歩けませんが。


左を見れば、いよいよニセイカウシュッペも迫ってきます。
茅刈別第三支川の長い雪渓に想像がふくらみます

これまた山体よりも、ゆるく弧を描いて山頂直下までのび上がる白い雪渓に、いろんな想像が膨らむというもんです。
茅刈別第三支川。
この時期でも写真にある末端よりはるか下まで雪は続いているので、あと半月ほど早ければ、白馬大雪渓と肩を並べる全長4km~5km、標高差800m~1000mの長ーい雪渓歩きが楽しめそうな予感に胸がときめきます。


大槍を越えたあたりがちょうど森林限界で、山頂まではあと少し。


お花畑に寄り道したりしながら。
お花畑に寄り道したりしながら。



ニセイカウシュッペ山頂に到着です。
ニセイカウシュッペ山頂。

三角点に腰を下ろす不届き者と思われるかもしれませんが、たぶん空気椅子です。
大腿四頭筋がプルプル動いてるでしょ?。


それからオイルサーディンとか食って。
オイルサーディンを山で食う



さぁ、アンギラスへ。
といっても登山道はありません。
踏み跡はいくつもあるのですが、そもそも地図にも道がないのでどこへ向かえばよいのか分からないのです。
Twitterつながりの、ぎょさんからアドバイスいただいたりしつつ、いざハイマツ藪に突入。
けっきょく正解だったのは、キジ撃ち道でした。
目印は真っ白なペーパーでございます。


腰丈のハイマツ藪を漕いでいくと、アンギラスの登場です。
腰丈のハイマツ藪を漕いでいくと、アンギラスの登場です。



もう少し進んでいくと、ネマガリ藪の急斜面に出くわします。
ここは一気に鞍部に向かって、転がるように下りていきます。
あ、すいません間違えました。鞍部に向かって、転がり落ちていきます。
下に着いて振り返って、こんなところ登り返すのかやめときゃ良かったと後悔する、そういう斜面です。


鞍部から見上げるアンギラス。男前やなぁ。
鞍部から見上げるアンギラス。男前やなぁ。



そしていよいよ、リトル・ミディに取り付きます。
どきどき。
でもじつは中間点までは、ハイマツがびっしり生えているので岩山という感じはなく、それほど緊張する箇所はありません。
パンツが松ヤニだらけになるだけです。


落ちたらアウトかも、って岩場は2箇所。
それもほんの数メートルだけです。
ホールドは少ないですが、みんながそれを使うせいかそこだけ色が変わっているので、答えが書いてある試験問題みたいなものです。


ぞくぞく。
ぞくぞく。ぶるぶる。



うほっほ。
うほっほ。ぶるぶる。



アンギラスの頂上からの眺めは、そりゃあもう爽快のひとことです。



    ・アンギラスの頂上からの景色

      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1715KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1700KB)



こうして山の上からの眺めを見て思うのは、この山は地上からは見ることができない、あるいは一部しか見えないんじゃないだろうか、ということです。
北海道がいくら広大だと言っても、名のあるほとんどの山は頂上から下界を見下ろせば、どこかしらの町や道路が見えるものです。
ところがアンギラスの頂上からは、そういうものが見えないのです。
だとすれば、これだけ威厳のある山容なのに名前が付かなかったことにも合点がいきます。


さて、だいぶ時間も押しているので、長居はせずに戻ります。
岩場は下りの方がおっかないから、慎重に、慎重に。


行きは前しか見てなかったから気付かなかったけど、こんな山を背負って登ってきたのか。
行きは前しか見てなかったから気付かなかったけど、こんな山を背負って登ってきたのか。

これは大槍を反対側から見た姿です。
主峰のニセイカウシュッペ山が、膨れそこないのシュークリームみたいな鈍頂だったことを考えれば、尾根の途中の一ピークが大槍を名乗ったとしてもやむなしという気がします。


鞍部まで下って雪の上で一息入れて、さきほど来るとき転がり落ちるように転がり落ちたネマガリ急斜面を、死にもの狂いで直登します。
びっしりと下向きに生えたネマガリ藪を登っていると、気管支の繊毛運動によって排出されていく異物になった気分です。


稜線まで戻れば、あとはもう立派な登山道を下るだけです。


午後3時を回って、表大雪の兄貴達に斜光線が当たっています。
午後3時を回って、表大雪の兄貴達に斜光線が当たっています。



樹林帯の中に注がれる光もやわらかくなる時間です。
樹林帯の中に注がれる光もやわらかくなる時間です。



無事に下山して、長い長い林道をとことこ走り、町に着くころには日暮れの時間。
無事に下山して、長い長い林道をとことこ走り、町に着くころには日暮れの時間。



汗だくになって、ブユに刺されて、パンツもシャツも松ヤニにまみれて、道のないところを歩いてくたくたになって、北国の短い夏の長い一日を、山にどっぷりとつかって過ごしたあとに見る夕焼けは、いつもの夕暮れの空よりも、100倍きれいに輝いていました。
だからこの後、町のお店が軒並み閉まってて、晩御飯が焼きそばUFO(賞味期限切れで半額)しかなかったことも、仕方ないさと笑って許します。




登山日:2011年7月7日

アンギラスとニセイカウシュッペ山 GPSトラック
アンギラスとニセイカウシュッペ山 GPSトラック




アンギラスとニセイカウシュッペ山 断面図
アンギラスとニセイカウシュッペ山 断面図



投稿者 hamayo : 23:48 | コメント (7) | トラックバック (0)

2011 - 7 / 1

狩場山 真駒内コース 敗退



撤退を決める理由というのはいろいろある。
道を見失うことだったり、時間切れだったり、難所を通過する技量がないことだったり、怪我だったり、まぁとにかくいろいろある。
でも今回ぼくが、狩場山の途中で撤退した理由というのは、自分でもはっきりこれだというのが分からないのだ。


直接のトリガーとなったのは、残雪斜面のトラバースに危険を感じたことだ。
突っ込めば高確率で滑落してただろう。
安全に通過するための装備はなかった。


でも、もしアイゼンとピッケルを持っていたとしたら、ぼくは先へ進んでいただろうか。
分からない。


慎重に雪渓を歩く



もうその時点で、ぼくはそうとう疲れていた。
体力的なことではない。
そこまでの道のりを振り返り、また同じルートを戻ることを想像すると、いっきに気力が萎えていくのだ。
それくらい'いろんなこと'があったし、同じ数の'いろんなこと'をもう一度味わわなきゃならない。


もう沢山だ。
ここまで来られたらじゅうぶんじゃないか。
そう言って、きびすを返した、狩場山真駒内コースの、これは負けた記録だ。



続きを読む・・・





真駒内コースの登山口には、立派な無人小屋と野営場がある。
その名も「熊戻野営場」。
すぐそばの谷は熊戻渓谷と呼ばれている。


熊戻渓谷
熊戻渓谷




送り仮名をどう付けるかによってだいぶ意味も変わってくるが、険しい渓谷で熊が戻っていった、が語源だと思うことにする。
熊がいてテントに戻れないとか、追い払ったはずの熊が戻ってきたとか、熊さん早く山に戻ってくださいとかではないと、思う。
たぶん。


驚くべきことに、ぼくが今シーズン最初の入山者。
驚くべきことに、ぼくが今シーズン最初の入山者。




もちろん、記入せずに登る人もいるわけだし、本当に最初かどうかは分からないけど。


狩場山とこのコースのことについて、少し説明することにしよう。
狩場山には、現在3つのコースがある。(過去には5つあったが2つは廃道になった)
距離も短く難所もない、最も一般的な千早(ちはせ)新道コース。
海からの長大な尾根を辿る茂津多コースは、ルートは平易だがヤブが深い場所があるという。
そして今回歩く、真駒内コースだ。


真駒内コースは、枝分かれの激しい尾根に乗ったり下りたりトラバースしたり、地図をながめてるだけでイヤらしい箇所がいくつも見えてくる、そういうルートだ。
1989年発行のアルペンガイド北海道の山によると、残雪期は非常に道に迷いやすいとか、6月までは雪が多くザイルがあった方が良いだとか、全コースでヒグマ出没の危険があり十分な対策が必要とか、ろくでもないことばかり書いてある。


それでも当時はこれが一般コースだったのだ。
新道コースが開削された現在は入山者もほとんどおらず、本州の登山地図でいうところの破線ルートと同レベルの荒れかただろう。
狩場山としての山開きは、7月の第2日曜日。
これは道内の山で最も遅い山開きになる。


ではそろそろ山に登るとしよう。


真駒内川にかかる、よく揺れる吊り橋を渡って5分と経たないうちに、道が消えてしまった。
(帰路に撮影。だから少しだけ道っぽくなってる。)
よく揺れる吊り橋を渡って5分と経たないうちに、道が消えてしまった。




あたりはブナの原生林なのに、ここだけがパイオニア植物で埋め尽くされている。
何年か前に土砂崩れかなにかが起きたのだろう。
そのとき登山道も一緒に流された。
そしてその後、道を整備するものが誰もいなかった、ということなのだろう。
尾根に取り付くまでの区間、こういう場所が次々に出現する。


結局、この区間でのルートファインディングと通過に、40分もかかってしまった。
(帰路に撮影。だから少しだけ道っぽくなってる。)
この区間でのルートファインディングと通過に、40分もかかってしまった。




尾根に上がるべく直登してみたり、先行者の足跡を探してみたりしたが、手がかりはなかった。
高度を維持してまっすぐ突っ切れば良かったのだが、地面はあまりに脆く、そして急だった。
イタドリやウツギの枝を掴んでないと、ずるずると谷に引き込まれてしまう。
アザミを掴んだらハズレ。
そういうヤブなのだ。


ヤブ地帯を抜け、右側の尾根に取り付く所まで来ると、ようやく踏み跡は明瞭になる。
ただ、急斜面に付けられたスイッチバックは、踏み跡として明瞭だというだけで、重力に対して真っ直ぐ立てるわけではなく、草を引っ掴んで直登するのとなんら変わらない酷いものだった。


しかし、ここをなんとか這い上がって尾根に出てしまうと、今までの悪路がうそのように、すばらしいトレイルが現れる。


ブナの茂る尾根の、ふかふかなトレイル。
ブナの茂る尾根の、フカフカなトレイル。

この上なく歩きやすいし、適度なアップダウンがあって飽きないし、それになんといってもブナの森の美しいことといったら。


あまり知られていないが、じつは狩場山系のブナ原生林は、日本一の蓄積量を誇るのだそうだ。
坪田和人さんの著書「ブナの山旅」によると、狩場山の東に広がる賀老高原は、和賀岳(秋田、岩手県境)、浅草岳(福島、新潟県境)についで第3位となっており、世界遺産のあの山よりも評価は高い。
ちなみに同著には、この真駒内コースも別枠でエントリーされている。
「道南最深部の山で熊におびえながら尾根のブナを訪ねる」という、せたな町からクレームが来そうな紹介文とともに。
ん?。熊・・・。


そう、熊なのだ。
見とれてしまうほど美しい、白い樹肌のブナ林の平穏も、長くは続かない。
アルペンガイドに「十分な対策が必要」と書いてあった、アイツのお出ましだ。


熊糞。
熊糞



熊毛。
熊毛



熊足跡。
熊足跡



残念ながら、熊臭は写真に写らない。


中には、どう見ても10分以内に落とされたばかりだろうという、新鮮な熊糞もいくつかある。
ネマガリの上物を食ってるんだな。
いっきに緊張感が高まる。
だがそれも、最初の内だけだった。


熊糞なんて、10や20じゃきかない。
歩けども歩けども、熊糞。
山頭火なら、分け入っても分け入っても熊糞、と詠んだに違いない
あいつら、歩きながら糞してるんじゃないか?。
はじめは踏まないように注意していたが、一度踏んづけてしまうともうどうでもよくなった。
ドンと来い熊糞!。
ここは熊の下水道だ。


狩場山の前衛峰を捉える。
狩場山の前衛峰を捉える



標高850mあたりから、シラカバがあらわれ始め、だんだんとブナは見られなくなる。
遠望もきくようになり、狩場山の前衛峰も捉えることができるようになったが、残雪も増えはじめた。
再び道が消える。


そして崩壊地。
そして崩壊地

一歩踏み出すたびに足元が崩れていく。
ネマガリをしっかり抱いて、お祈りする。
この石なら動かないだろうと体重を預けたら、石の周りの地面ごとすべり落ちていく。
そしてこれまた、崩壊地は1箇所だけでは終わらないのだ。


標高1100mを越えると、もう雪の上を歩くほうが多くなる。
腐った雪なら歩けるが、半分は氷化し、半分は硬く締まった雪だ。


カッチリ硬い雪の斜面。足蹴り一発、ぜんぜん利かない。
カッチリ硬い雪の斜面。足蹴り一発、ぜんぜん利かない。

ストックを雪面に刺し、やわらかい所を探りつつ、足場を作りながら進んでいく。


難所はさらに続く。
かすかにそれと分かる踏み跡をたどって笹薮を抜けると、目の前にドーンと、引き返す理由としては十分な雪壁があらわれる。
上の方は雪庇の名残だろう。
10mくらいの高さがあるから向こうは見えない。
これを登ったら快適な稜線のトレイルになるかもしれないと、根拠のないポジティブな意見が舞い降りる。
あぁ、人はこうやって深みに嵌っていくのだ。


幸いというか、下は濃密なネマガリの藪だ。
滑ってもそこで止まる。
一度でも滑落したらやめると決めて登り始めたら、滑らなかった。


しかし、登ってはみたけれど、快適なトレイルなんてあるわけがない。


もう帰ろう。
もう帰ろう




今の壁に比べたら斜度はぜんぜん小さいけれど、あそこで滑ったら千早川の源流まで落っこちるしかない。
とにかく雪がガチガチに硬いのだ。
ダガーポジションでカニ歩きとか、頭では考えても、手元にストックしかないのだからどうしようもない。
ヤブを漕ぐのももうたくさんだ。
帰ろう。
十分歩いたし、また同じだけ歩かなきゃいけない。


さっきの壁を降りるとき、見事に滑り落ちる。
ちゃんとネマガリ藪に突っ込んで止まったけど、肘を強打してアイタタタ。


とりあえず、危険地帯を抜けて、ほっとひと息。
とりあえず、危険地帯を抜けて、ほっとひと息。



帰り道のことは、ビデオテープを逆再生するのと同じだ。
雪渓は行きの踏み跡のおかげで迷わなくてすんだけど、ぐずぐずの崩壊地でまた肝を冷やし、熊糞はなんだかちょっと増えてるな。


熊の気配をビンビン感じつつ、ちょいとご飯を頂いてくよ。
熊の気配をビンビン感じつつ、ちょいとご飯を頂いてくよ。



最後のヤブは、もうどこを通ったかなんて覚えてない。
帰ってからGPSトラックを見たら、往路と違う場所を突破してきたらしい。
ぜんぜん気付かなかったよ。


吊り橋が見えたときは、心底ほっとして、腰が砕けそうになった。
吊り橋が見えたときは、心底ほっとして、腰が砕けそうになった。



/////////////////////////////////////////////////////////////////


登る前から予想はしていましたが、狩場山の真駒内コースは、いまやぜんぜん一般コースではありませんでした。
たぶん、何の心づもりもしないで入山したら、歩き出して5分の、道が突然消える場所で引き返していたと思います。
ポイントとなるのは、この最初のルートファインディングや崩壊地の通過、上部の雪、ヤブ、それに熊でしょう。


上部の雪渓については、アイゼン・ピッケルがあれば突破は可能ですが、時期を少しずらすだけでだいぶ違う結果になったと思います。
おそらく、あと1週間遅ければ(つまり明日明後日なら)、雪渓は縮小し、雪壁は低くなり、埋もれている夏道もだいぶ顔を出しているでしょう。
さらにもう1週間遅くなると、そのころには残雪について気に留める必要もないかもしれません。


逆に2週間ほど早い時期に登れば、1000mより上は雪が繋がっているはずです。
その時期ならアイゼンとピッケルは持つことになるし、そうなればコース取りは自由になります。
わざわざ千早川源頭の斜面をトラバースしなくても、尾根通しで雪陵を進むことができれば、その方がよっぽど安全です。


ただ前半の道が消えてしまっている区間や、中間部に連続する崩壊地、いたるところのヤブについては、再整備されるか、山開きのあと入山者が増えてトレースが出来上がるまでは、難所のままでしょう。
地図読み、ルートファインディング、薮漕ぎ、そういうのが好きな人でないとキツイと思います。


熊については・・・。
さすがに今回は鈴を持っていきました。
磐梯山の山頂小屋で買った土産用の鈴なので、効果があったのかどうかは分かりません。
熊ビーコンとかあったらいいのに、とずっと考えながら歩いてました。


参考までに、これは下流の矢淵橋からみた狩場山の前衛峰です。
下流の矢淵橋からみた狩場山の前衛峰




歩いた場所の雪は、ほとんど隠れて見えてませんが、この写真のような雪型が見えている時期は、上部の雪は今回の記事のような感じになっているという目安にはなると思います。
麓から見るよりも、上の方はずっと雪は多いです。
こういうコースがお好きな方は、お早めにお出かけくださいまし。


もしもう一度やるとしたら、ぼくはもう少し雪が多いときに行きたいと思います。
でも今はお腹いっぱいなので、しばらくは遠慮しときます。
ホント、疲れたんですよ。


登山日:2011年6月26日

狩場山 真駒内コース(途中撤退) GPSトラック
狩場山 真駒内コース(途中撤退) GPSトラック




狩場山 真駒内コース(途中撤退) 断面図
狩場山 真駒内コース(途中撤退) 断面図







真駒内コースの登山口には、立派な無人小屋と野営場がある。
その名も「熊戻野営場」。
すぐそばの谷は熊戻渓谷と呼ばれている。


熊戻渓谷
熊戻渓谷




送り仮名をどう付けるかによってだいぶ意味も変わってくるが、険しい渓谷で熊が戻っていった、が語源だと思うことにする。
熊がいてテントに戻れないとか、追い払ったはずの熊が戻ってきたとか、熊さん早く山に戻ってくださいとかではないと、思う。
たぶん。


驚くべきことに、ぼくが今シーズン最初の入山者。
驚くべきことに、ぼくが今シーズン最初の入山者。




もちろん、記入せずに登る人もいるわけだし、本当に最初かどうかは分からないけど。


狩場山とこのコースのことについて、少し説明することにしよう。
狩場山には、現在3つのコースがある。(過去には5つあったが2つは廃道になった)
距離も短く難所もない、最も一般的な千早(ちはせ)新道コース。
海からの長大な尾根を辿る茂津多コースは、ルートは平易だがヤブが深い場所があるという。
そして今回歩く、真駒内コースだ。


真駒内コースは、枝分かれの激しい尾根に乗ったり下りたりトラバースしたり、地図をながめてるだけでイヤらしい箇所がいくつも見えてくる、そういうルートだ。
1989年発行のアルペンガイド北海道の山によると、残雪期は非常に道に迷いやすいとか、6月までは雪が多くザイルがあった方が良いだとか、全コースでヒグマ出没の危険があり十分な対策が必要とか、ろくでもないことばかり書いてある。


それでも当時はこれが一般コースだったのだ。
新道コースが開削された現在は入山者もほとんどおらず、本州の登山地図でいうところの破線ルートと同レベルの荒れかただろう。
狩場山としての山開きは、7月の第2日曜日。
これは道内の山で最も遅い山開きになる。


ではそろそろ山に登るとしよう。


真駒内川にかかる、よく揺れる吊り橋を渡って5分と経たないうちに、道が消えてしまった。
(帰路に撮影。だから少しだけ道っぽくなってる。)
よく揺れる吊り橋を渡って5分と経たないうちに、道が消えてしまった。




あたりはブナの原生林なのに、ここだけがパイオニア植物で埋め尽くされている。
何年か前に土砂崩れかなにかが起きたのだろう。
そのとき登山道も一緒に流された。
そしてその後、道を整備するものが誰もいなかった、ということなのだろう。
尾根に取り付くまでの区間、こういう場所が次々に出現する。


結局、この区間でのルートファインディングと通過に、40分もかかってしまった。
(帰路に撮影。だから少しだけ道っぽくなってる。)
この区間でのルートファインディングと通過に、40分もかかってしまった。




尾根に上がるべく直登してみたり、先行者の足跡を探してみたりしたが、手がかりはなかった。
高度を維持してまっすぐ突っ切れば良かったのだが、地面はあまりに脆く、そして急だった。
イタドリやウツギの枝を掴んでないと、ずるずると谷に引き込まれてしまう。
アザミを掴んだらハズレ。
そういうヤブなのだ。


ヤブ地帯を抜け、右側の尾根に取り付く所まで来ると、ようやく踏み跡は明瞭になる。
ただ、急斜面に付けられたスイッチバックは、踏み跡として明瞭だというだけで、重力に対して真っ直ぐ立てるわけではなく、草を引っ掴んで直登するのとなんら変わらない酷いものだった。


しかし、ここをなんとか這い上がって尾根に出てしまうと、今までの悪路がうそのように、すばらしいトレイルが現れる。


ブナの茂る尾根の、ふかふかなトレイル。
ブナの茂る尾根の、フカフカなトレイル。

この上なく歩きやすいし、適度なアップダウンがあって飽きないし、それになんといってもブナの森の美しいことといったら。


あまり知られていないが、じつは狩場山系のブナ原生林は、日本一の蓄積量を誇るのだそうだ。
坪田和人さんの著書「ブナの山旅」によると、狩場山の東に広がる賀老高原は、和賀岳(秋田、岩手県境)、浅草岳(福島、新潟県境)についで第3位となっており、世界遺産のあの山よりも評価は高い。
ちなみに同著には、この真駒内コースも別枠でエントリーされている。
「道南最深部の山で熊におびえながら尾根のブナを訪ねる」という、せたな町からクレームが来そうな紹介文とともに。
ん?。熊・・・。


そう、熊なのだ。
見とれてしまうほど美しい、白い樹肌のブナ林の平穏も、長くは続かない。
アルペンガイドに「十分な対策が必要」と書いてあった、アイツのお出ましだ。


熊糞。
熊糞



熊毛。
熊毛



熊足跡。
熊足跡



残念ながら、熊臭は写真に写らない。


中には、どう見ても10分以内に落とされたばかりだろうという、新鮮な熊糞もいくつかある。
ネマガリの上物を食ってるんだな。
いっきに緊張感が高まる。
だがそれも、最初の内だけだった。


熊糞なんて、10や20じゃきかない。
歩けども歩けども、熊糞。
山頭火なら、分け入っても分け入っても熊糞、と詠んだに違いない
あいつら、歩きながら糞してるんじゃないか?。
はじめは踏まないように注意していたが、一度踏んづけてしまうともうどうでもよくなった。
ドンと来い熊糞!。
ここは熊の下水道だ。


狩場山の前衛峰を捉える。
狩場山の前衛峰を捉える



標高850mあたりから、シラカバがあらわれ始め、だんだんとブナは見られなくなる。
遠望もきくようになり、狩場山の前衛峰も捉えることができるようになったが、残雪も増えはじめた。
再び道が消える。


そして崩壊地。
そして崩壊地

一歩踏み出すたびに足元が崩れていく。
ネマガリをしっかり抱いて、お祈りする。
この石なら動かないだろうと体重を預けたら、石の周りの地面ごとすべり落ちていく。
そしてこれまた、崩壊地は1箇所だけでは終わらないのだ。


標高1100mを越えると、もう雪の上を歩くほうが多くなる。
腐った雪なら歩けるが、半分は氷化し、半分は硬く締まった雪だ。


カッチリ硬い雪の斜面。足蹴り一発、ぜんぜん利かない。
カッチリ硬い雪の斜面。足蹴り一発、ぜんぜん利かない。

ストックを雪面に刺し、やわらかい所を探りつつ、足場を作りながら進んでいく。


難所はさらに続く。
かすかにそれと分かる踏み跡をたどって笹薮を抜けると、目の前にドーンと、引き返す理由としては十分な雪壁があらわれる。
上の方は雪庇の名残だろう。
10mくらいの高さがあるから向こうは見えない。
これを登ったら快適な稜線のトレイルになるかもしれないと、根拠のないポジティブな意見が舞い降りる。
あぁ、人はこうやって深みに嵌っていくのだ。


幸いというか、下は濃密なネマガリの藪だ。
滑ってもそこで止まる。
一度でも滑落したらやめると決めて登り始めたら、滑らなかった。


しかし、登ってはみたけれど、快適なトレイルなんてあるわけがない。


もう帰ろう。
もう帰ろう




今の壁に比べたら斜度はぜんぜん小さいけれど、あそこで滑ったら千早川の源流まで落っこちるしかない。
とにかく雪がガチガチに硬いのだ。
ダガーポジションでカニ歩きとか、頭では考えても、手元にストックしかないのだからどうしようもない。
ヤブを漕ぐのももうたくさんだ。
帰ろう。
十分歩いたし、また同じだけ歩かなきゃいけない。


さっきの壁を降りるとき、見事に滑り落ちる。
ちゃんとネマガリ藪に突っ込んで止まったけど、肘を強打してアイタタタ。


とりあえず、危険地帯を抜けて、ほっとひと息。
とりあえず、危険地帯を抜けて、ほっとひと息。



帰り道のことは、ビデオテープを逆再生するのと同じだ。
雪渓は行きの踏み跡のおかげで迷わなくてすんだけど、ぐずぐずの崩壊地でまた肝を冷やし、熊糞はなんだかちょっと増えてるな。


熊の気配をビンビン感じつつ、ちょいとご飯を頂いてくよ。
熊の気配をビンビン感じつつ、ちょいとご飯を頂いてくよ。



最後のヤブは、もうどこを通ったかなんて覚えてない。
帰ってからGPSトラックを見たら、往路と違う場所を突破してきたらしい。
ぜんぜん気付かなかったよ。


吊り橋が見えたときは、心底ほっとして、腰が砕けそうになった。
吊り橋が見えたときは、心底ほっとして、腰が砕けそうになった。



/////////////////////////////////////////////////////////////////


登る前から予想はしていましたが、狩場山の真駒内コースは、いまやぜんぜん一般コースではありませんでした。
たぶん、何の心づもりもしないで入山したら、歩き出して5分の、道が突然消える場所で引き返していたと思います。
ポイントとなるのは、この最初のルートファインディングや崩壊地の通過、上部の雪、ヤブ、それに熊でしょう。


上部の雪渓については、アイゼン・ピッケルがあれば突破は可能ですが、時期を少しずらすだけでだいぶ違う結果になったと思います。
おそらく、あと1週間遅ければ(つまり明日明後日なら)、雪渓は縮小し、雪壁は低くなり、埋もれている夏道もだいぶ顔を出しているでしょう。
さらにもう1週間遅くなると、そのころには残雪について気に留める必要もないかもしれません。


逆に2週間ほど早い時期に登れば、1000mより上は雪が繋がっているはずです。
その時期ならアイゼンとピッケルは持つことになるし、そうなればコース取りは自由になります。
わざわざ千早川源頭の斜面をトラバースしなくても、尾根通しで雪陵を進むことができれば、その方がよっぽど安全です。


ただ前半の道が消えてしまっている区間や、中間部に連続する崩壊地、いたるところのヤブについては、再整備されるか、山開きのあと入山者が増えてトレースが出来上がるまでは、難所のままでしょう。
地図読み、ルートファインディング、薮漕ぎ、そういうのが好きな人でないとキツイと思います。


熊については・・・。
さすがに今回は鈴を持っていきました。
磐梯山の山頂小屋で買った土産用の鈴なので、効果があったのかどうかは分かりません。
熊ビーコンとかあったらいいのに、とずっと考えながら歩いてました。


参考までに、これは下流の矢淵橋からみた狩場山の前衛峰です。
下流の矢淵橋からみた狩場山の前衛峰




歩いた場所の雪は、ほとんど隠れて見えてませんが、この写真のような雪型が見えている時期は、上部の雪は今回の記事のような感じになっているという目安にはなると思います。
麓から見るよりも、上の方はずっと雪は多いです。
こういうコースがお好きな方は、お早めにお出かけくださいまし。


もしもう一度やるとしたら、ぼくはもう少し雪が多いときに行きたいと思います。
でも今はお腹いっぱいなので、しばらくは遠慮しときます。
ホント、疲れたんですよ。


登山日:2011年6月26日

狩場山 真駒内コース(途中撤退) GPSトラック
狩場山 真駒内コース(途中撤退) GPSトラック




狩場山 真駒内コース(途中撤退) 断面図
狩場山 真駒内コース(途中撤退) 断面図



投稿者 hamayo : 00:45 | コメント (2) | トラックバック (0)

2011 - 6 /18

魅惑のファーストエイドキット



ファーストエイドキットという言葉にワクワクした経験はないでしょうか。
こどものころ読んだいわゆる野外生活マニュアル的な書物には、たいていファーストエイドキットなるものが紹介されていました。
薬はもちろんのこと、見たことのない器具や小さく折りたたまれた道具などがシステマチックに収納されて、赤地に白の十字がプリントされたバッグに収められている、あれです。


あれさえあればどんなケガや病気にも対処できるような気がしたし、持っているだけで熟練者として認めてもらえるんじゃないかと思ったものです。
もちろん実際には、持ってるだけでは意味がないばかりか使い方が分かっていないと用を足さないし、そもそもファーストエイドキットを開く事態にならないよう行動することこそが真の熟練者であることはいうまでもありません。


こどものころはただの憧れ、あるいはカッコつけのアイテムだったファーストエイドキットですが、年を取るにつれて自分の体の弱さや脆さが分かってくると、重要性は段違いに増してきます。
とくに、山の中で泊ったり、ほとんど誰とも会わないような山に行く場合はなおさらです。


続きを読む・・・




ファーストエイドキットは、GraniteGearのエアポケットMに収納しています。
ファーストエイドキットは、GraniteGearのエアポケットMに収納しています。



ぜんぜん関係ない話しですが、このエアポケット、たかが袋に止水ファスナーなんて無意味じゃない?、という話しを耳にすることがあります。
どうせ隙間だらけなんだから防水にならないし、と。

じつはぼく、これのパクリを二つほど自分で縫ってみたことがありまして、止水ファスナーなんて無いから普通のファスナーで作ったのです。
すると、中にものを入れると形が保てなくてフニャフニャになってしまうんです。
据わりが悪いし持ちにくいしで、非常に使い心地が悪い。

そう、止水ファスナーは水を止めるためではなく、骨格として使われているのです。(たぶん)
適度な弾力による形状復元性こそが、止水ファスナーを用いた理由なのです。(たぶん)




話を元に戻します。


薬はプラスチックケースに入れて、これらをジッパー付のビニール袋に入れます。
薬はプラスチックケースに入れて、これらをジッパー付のビニール袋に入れます。



薬の内訳はこんな感じ。
薬の内訳はこんな感じ。




左列の上から、
タリオン:抗ヒスタミン薬。じんましんとかアレルギー性鼻炎
メリスロン:めまい
プリンペラン:消化管の働き改善。吐き気止め。
ベタメタゾン:ステロイド(かなり強力な部類)

中列の上から
ロキソニン:解熱鎮痛消炎剤
プラミール:プリンペランと同じ。古いだけ。
ストッパ:止瀉薬

右列の上から
トーワチーム:かぜ薬
フロモックス:抗生物質

ひとつ上の画像に写ってるジフラール軟膏は、ステロイド外用薬です。


ちなみにロキソニンのようなCOX-2選択的阻害薬、ぼくにはぜんぜん効かないんです。
3倍量を飲んだことがありますが、これで痛みが引いたことはかつて一度もありません。
だけど市販薬のバファリンは効くんです。
薬のはたらく仕組みが、微妙に違うのかもしれません。




外用系は、滅菌ガーゼ、ガーゼを押さえる防水フィルム、絆創膏、サージカルテープ、マスク
外用系は、滅菌ガーゼ、ガーゼを押さえる防水フィルム、絆創膏、サージカルテープ、マスク



これ以外に、のどにピュッピュッとするポピドンヨード、ワセリン、それに目薬は、べつの入れ物で携行しています。
医薬品というよりは、日常的に使うものという位置づけです。
それから、テーピングテープの代わりにビニールテープを持っていきます。
スキー板や登山靴の修理にも使える(実際、スキーのストックが折れたときや、登山靴の靴底修理に使いました)し、指や足首の固定にも(慣れれば)使えます。


実際のところこれで十分なのかは分かりませんが、幸いにしてお世話になったことは一度もありません。
まぁね、こんないっぱいの薬より、仙豆が一粒入ってればいいんだけどな~。





ファーストエイドキットは、GraniteGearのエアポケットMに収納しています。
ファーストエイドキットは、GraniteGearのエアポケットMに収納しています。



ぜんぜん関係ない話しですが、このエアポケット、たかが袋に止水ファスナーなんて無意味じゃない?、という話しを耳にすることがあります。
どうせ隙間だらけなんだから防水にならないし、と。

じつはぼく、これのパクリを二つほど自分で縫ってみたことがありまして、止水ファスナーなんて無いから普通のファスナーで作ったのです。
すると、中にものを入れると形が保てなくてフニャフニャになってしまうんです。
据わりが悪いし持ちにくいしで、非常に使い心地が悪い。

そう、止水ファスナーは水を止めるためではなく、骨格として使われているのです。(たぶん)
適度な弾力による形状復元性こそが、止水ファスナーを用いた理由なのです。(たぶん)




話を元に戻します。


薬はプラスチックケースに入れて、これらをジッパー付のビニール袋に入れます。
薬はプラスチックケースに入れて、これらをジッパー付のビニール袋に入れます。



薬の内訳はこんな感じ。
薬の内訳はこんな感じ。




左列の上から、
タリオン:抗ヒスタミン薬。じんましんとかアレルギー性鼻炎
メリスロン:めまい
プリンペラン:消化管の働き改善。吐き気止め。
ベタメタゾン:ステロイド(かなり強力な部類)

中列の上から
ロキソニン:解熱鎮痛消炎剤
プラミール:プリンペランと同じ。古いだけ。
ストッパ:止瀉薬

右列の上から
トーワチーム:かぜ薬
フロモックス:抗生物質

ひとつ上の画像に写ってるジフラール軟膏は、ステロイド外用薬です。


ちなみにロキソニンのようなCOX-2選択的阻害薬、ぼくにはぜんぜん効かないんです。
3倍量を飲んだことがありますが、これで痛みが引いたことはかつて一度もありません。
だけど市販薬のバファリンは効くんです。
薬のはたらく仕組みが、微妙に違うのかもしれません。




外用系は、滅菌ガーゼ、ガーゼを押さえる防水フィルム、絆創膏、サージカルテープ、マスク
外用系は、滅菌ガーゼ、ガーゼを押さえる防水フィルム、絆創膏、サージカルテープ、マスク



これ以外に、のどにピュッピュッとするポピドンヨード、ワセリン、それに目薬は、べつの入れ物で携行しています。
医薬品というよりは、日常的に使うものという位置づけです。
それから、テーピングテープの代わりにビニールテープを持っていきます。
スキー板や登山靴の修理にも使える(実際、スキーのストックが折れたときや、登山靴の靴底修理に使いました)し、指や足首の固定にも(慣れれば)使えます。


実際のところこれで十分なのかは分かりませんが、幸いにしてお世話になったことは一度もありません。
まぁね、こんないっぱいの薬より、仙豆が一粒入ってればいいんだけどな~。


投稿者 hamayo : 23:44 | コメント (12) | トラックバック (0)

2011 - 6 /12

徳舜瞥山とホロホロ山



夏は、この日から始まった。

夏は、この日から始まった。



北国の季節の移り変わりは、ある日突然にやってくる。
だんだん暖かくなってきたね、だとか、いつのまにかもう秋ね、などというユルい変化はない。
カレンダーをびりびりと破いて、ハイ今日から夏です!、あるいは、ハイ春は終わりました!。
杭打ち機がヨサコイ踊ってるみたいな前夜の激しい雷は、まさに夏のスタートを告げる号砲だったのだ。



続きを読む・・・





じつはこの休日、はじめから徳舜瞥山に登ろうと考えていたわけではない。
大雪高原温泉か銀泉台か、そのあたりの麓にテントを張って、シーズン最後のスキーをしようというのが当初の計画だったのだ。
でもゲートは開かない。


次は積丹岳だ。
こっちはこっちで、スキーをするにはもう雪は少ないけど歩いて登るには雪が多いと分かり、断念。
ちなみにかつてこのBlogで、「夏場に来ることは二度とないであろう!・・・Probably.」と書いたことは、すっかり忘れてしまっている。


徳舜瞥山の地図を開いたのは朝になってからの話しなのだ。
この山の地図が開かれたのは、本当にたまたまだったのだけれど、それは偶然じゃなかったんだと後で思うことになる。


徳舜瞥山とホロホロ山の地図




登山口に着いたのは14時前で、陽射しも強くちょうどいちばん暑い時間だったが、東大雪を思わせる濃い森のなかはとても美しく、気持ちよく歩きだすことが出来た。


水場のある6合目。
水が流れるところは涼しいなぁ、と考えていたら落っこちた。
水が流れるところは涼しいなぁ、と考えていたら落っこちた。

これは丸木橋じゃなく、ただの倒木だろう。
木の上を渡らずとも沢の中を歩けばよかったのだ。


そして7合目の手前、森の木がすこしずつ低くなり、空が広く見えるようになりだした坂で、ぼくは出会ってしまった。
ヒグマじゃない。
ひょっこりさんに。


ここに来る途中ツイッターのTLを見ていて、もしかして同じ山に来てるかもしれないとは思っていたが、仮にそうだとしても分からないだろうと考えていた。
そうしたら、ひょっこりさんの方が気づいてくれたのだ。
林道のゲートが開かなかったことも、雪の量が中途半端だったことも、すべてはこの山にぼくが来るために周到に準備された仕掛けだったのかもしれない。
ひょっこりさん、短い時間だったけど楽しいひとときがすごせて良かったです。


ありがとう。
ひょっこりさん、ありがとう



さて、ふたたび歩き始めて10分もすると7合目で、ここでようやく尾根に乗る。
尾根をまっすぐ下るほうはピンクテープで封鎖してあるが、そこは広く平らで草も生えておらず、テントを張るにはうってつけの場所だ。
もし上の方の天候がマズいときはここに張ることにしよう。


山頂を目前にして、雲がわいてきた。
山頂を目前にして、雲がわいてきた。



でも雨を降らせる雲じゃないし、風も弱い。
稜線にテントを張ろう。


フワフワ雲がただよって、気持ちよいテン場だな。
フワフワ雲がただよって、気持ちよいテン場だな。



ガスが晴れれば、なかなかに高度感のある場所で、ちょっと驚く。
ガスが晴れれば、なかなかに高度感のある場所で、ちょっと驚く。

こんなところで宴会したら大変だ、って誰かが言ってたっけ。


山頂のある一帯が雲に入ってるけど、上空は晴れているから薄日も射す。
これはもしかして、ブロッケンの妖怪に会えるかもしれない。
地形的にも条件は揃ってる。


メシの用意もせずにブロッケン待ち。
メシの用意もせずにブロッケン待ち。



それはほんの数十秒のできごとだった。
太陽が地平線に近づいていくと、急に光が強くなったんだ。
わき上がる雲をめがけて、すーっと長い影がのびる。
そいつはこっちを向いて、ぼくに手を振っていた。


ブロッケンの妖怪、あらわる。
ブロッケンの妖怪、あらわる。

久しぶりの再会に声をかけようとしたら、太陽が隠れるのと同時に雲の中へ帰っていった。
せっかくだから並んでセルフも撮りたかったのに、あっという間にいなくなってしまったよ。


すっかり日が落ちてから夕飯の準備。
すっかり日が落ちてから夕飯の準備。

でもだいじょうぶ。
この時期の北海道は、薄明が長いのだ。


日が沈むと雲は取れていき、月が出てたから、山頂に行って記念撮影をする。
日が沈むと雲は取れていき、月が出てたから、山頂に行って記念撮影をする。



夏山の夜。天空をひとりじめ。
夏山の夜。天空をひとりじめ。



光の海から、いるか座が飛び出した。夏の大三角形をくぐりたかったのかな。
光の海から、いるか座が飛び出した。夏の大三角形をくぐりたかったのかな。



気がついたら夜の10時をまわってる。
早く寝ないと、あっという間に朝がきちゃうよ。
オヤスミナサイ。




////////////////////////////////////////////




それにしても、朝が来るのが早すぎる。
目覚ましは3時半にかけたけど起きたのは2時半で、もうテントの中は暗くない。
フライを開けると北東の空が白んでる。
もぞもぞと、40分のストレッチをしてから外に出た。


恵庭岳と、支笏湖に反射してるのはモラップ山だと思う。
恵庭岳と、支笏湖に反射してるのはモラップ山だと思う。



朝ごはん。
山の上の朝ごはん



お腹いっぱいになったら、当然のように二度寝する。
なんたってまだ4時なんだよ。


しかし日が高くなるにつれテントの中はぐんぐん気温が上昇し、のどが渇いて目が覚めた。
こんなところで貴重な水を消費するわけにはいかないので、7時半にホロホロ山へ向けて出発。


徳舜瞥山を下る。
徳舜瞥山を下ってホロホロ山へ。

あれれおかしいなー。
もっとカッコイイ画になるはずだったのにこりゃどう見ても、アレだなぁ。


スピード感あふれるタチグリ直滑降になる予定だったんだよ。
スピード感あふれるタチグリ直滑降になる予定だったんだよ。



吊り尾根の鞍部から見上げるホロホロ山。
吊り尾根の鞍部から見上げるホロホロ山。

晴れた朝に稜線を歩くというのは、もうそれだけで無条件に気持ちがよくて、ハッピーな気分になってしまうんだ。
だって今この山にいるのはぼく一人だけ。
ボヘミアン・ラプソディーを全開で歌って、鳥たちが一斉に逃げ出しても、文句を言うやつはどこにもいない。


ホロホロ山の登りにかかると、徳舜瞥山の端正な姿が見えてくる。
ホロホロ山の登りにかかると、徳舜瞥山の端正な姿が見えてくる。



見た目ほど遠くはなく、徳舜瞥山から歩くこと30分、ホロホロ山に到着。
以外にも、こちらの方が山頂っぽい風景だった。



    ・ホロホロ山の頂上からの景色

      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1492KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1473KB)




こりゃすごいや丸見えだ。
支笏湖のまわりには、恵庭岳、風不死岳、樽前山。
札幌岳に空沼岳、雪が残ってるのは無意根山と余市岳だな。
近くの方だと、白老岳、オロフレ山、それから伊達の紋別岳と稀府岳も。
それにしても、ここまで離れてもやはり羊蹄山の存在感は大きいなぁ。


こうして見ると、近くに山が少ないおかげで、遠くの山まで見わたせるというのがよくわかる。
たしかに平地からでも、この二つの山は、けっこう遠くからでも見えるのだ。


さてそろそろ徳舜瞥山に帰ろう。
早起きのハイカーが登ってくる前にテントをたたまないといけない。


昨日すれ違った人が言ってたのだが、この吊り尾根はもう少しすれば花畑になるそうだ。
今はまだ雪も残り、ようやく早春の風情。

ヒメイチゲ
ヒメイチゲ



下山中、大勢のハイカーとすれ違った。
ぜんぶで20人ぐらいになるだろうか。
休日の山なら、それぐらいいても不思議じゃないが、今日は平日だ。
人気の山なのだ、ここは。


軽快に下っていると、前方から背の高い積雲が徒党を組んで押しよせてくる。
雲の下で雨が降っているのが、遠くからでもよく分かる。


森に入ったところでザバーっと降られる。
森に入ったところでザバーっと降られる。




森の芳香がぐっと強くなって、足もとの草も、木々のこずえも、空を覆う葉も、こころなしか喜んでるように見える。
ぼくもだんだん、楽しくなってきた。


だからって、雨の山歩きもいいもんだなんてことは、言わない。
ちゃんと聞こえてるんだよ。
山とか森とか、それからブロッケンの妖怪にも、聞こえてる。
だから静かに、雨は嫌だなぁと言いながら、山を下りていった。





じつはこの休日、はじめから徳舜瞥山に登ろうと考えていたわけではない。
大雪高原温泉か銀泉台か、そのあたりの麓にテントを張って、シーズン最後のスキーをしようというのが当初の計画だったのだ。
でもゲートは開かない。


次は積丹岳だ。
こっちはこっちで、スキーをするにはもう雪は少ないけど歩いて登るには雪が多いと分かり、断念。
ちなみにかつてこのBlogで、「夏場に来ることは二度とないであろう!・・・Probably.」と書いたことは、すっかり忘れてしまっている。


徳舜瞥山の地図を開いたのは朝になってからの話しなのだ。
この山の地図が開かれたのは、本当にたまたまだったのだけれど、それは偶然じゃなかったんだと後で思うことになる。


徳舜瞥山とホロホロ山の地図




登山口に着いたのは14時前で、陽射しも強くちょうどいちばん暑い時間だったが、東大雪を思わせる濃い森のなかはとても美しく、気持ちよく歩きだすことが出来た。


水場のある6合目。
水が流れるところは涼しいなぁ、と考えていたら落っこちた。
水が流れるところは涼しいなぁ、と考えていたら落っこちた。

これは丸木橋じゃなく、ただの倒木だろう。
木の上を渡らずとも沢の中を歩けばよかったのだ。


そして7合目の手前、森の木がすこしずつ低くなり、空が広く見えるようになりだした坂で、ぼくは出会ってしまった。
ヒグマじゃない。
ひょっこりさんに。


ここに来る途中ツイッターのTLを見ていて、もしかして同じ山に来てるかもしれないとは思っていたが、仮にそうだとしても分からないだろうと考えていた。
そうしたら、ひょっこりさんの方が気づいてくれたのだ。
林道のゲートが開かなかったことも、雪の量が中途半端だったことも、すべてはこの山にぼくが来るために周到に準備された仕掛けだったのかもしれない。
ひょっこりさん、短い時間だったけど楽しいひとときがすごせて良かったです。


ありがとう。
ひょっこりさん、ありがとう



さて、ふたたび歩き始めて10分もすると7合目で、ここでようやく尾根に乗る。
尾根をまっすぐ下るほうはピンクテープで封鎖してあるが、そこは広く平らで草も生えておらず、テントを張るにはうってつけの場所だ。
もし上の方の天候がマズいときはここに張ることにしよう。


山頂を目前にして、雲がわいてきた。
山頂を目前にして、雲がわいてきた。



でも雨を降らせる雲じゃないし、風も弱い。
稜線にテントを張ろう。


フワフワ雲がただよって、気持ちよいテン場だな。
フワフワ雲がただよって、気持ちよいテン場だな。



ガスが晴れれば、なかなかに高度感のある場所で、ちょっと驚く。
ガスが晴れれば、なかなかに高度感のある場所で、ちょっと驚く。

こんなところで宴会したら大変だ、って誰かが言ってたっけ。


山頂のある一帯が雲に入ってるけど、上空は晴れているから薄日も射す。
これはもしかして、ブロッケンの妖怪に会えるかもしれない。
地形的にも条件は揃ってる。


メシの用意もせずにブロッケン待ち。
メシの用意もせずにブロッケン待ち。



それはほんの数十秒のできごとだった。
太陽が地平線に近づいていくと、急に光が強くなったんだ。
わき上がる雲をめがけて、すーっと長い影がのびる。
そいつはこっちを向いて、ぼくに手を振っていた。


ブロッケンの妖怪、あらわる。
ブロッケンの妖怪、あらわる。

久しぶりの再会に声をかけようとしたら、太陽が隠れるのと同時に雲の中へ帰っていった。
せっかくだから並んでセルフも撮りたかったのに、あっという間にいなくなってしまったよ。


すっかり日が落ちてから夕飯の準備。
すっかり日が落ちてから夕飯の準備。

でもだいじょうぶ。
この時期の北海道は、薄明が長いのだ。


日が沈むと雲は取れていき、月が出てたから、山頂に行って記念撮影をする。
日が沈むと雲は取れていき、月が出てたから、山頂に行って記念撮影をする。



夏山の夜。天空をひとりじめ。
夏山の夜。天空をひとりじめ。



光の海から、いるか座が飛び出した。夏の大三角形をくぐりたかったのかな。
光の海から、いるか座が飛び出した。夏の大三角形をくぐりたかったのかな。



気がついたら夜の10時をまわってる。
早く寝ないと、あっという間に朝がきちゃうよ。
オヤスミナサイ。




////////////////////////////////////////////




それにしても、朝が来るのが早すぎる。
目覚ましは3時半にかけたけど起きたのは2時半で、もうテントの中は暗くない。
フライを開けると北東の空が白んでる。
もぞもぞと、40分のストレッチをしてから外に出た。


恵庭岳と、支笏湖に反射してるのはモラップ山だと思う。
恵庭岳と、支笏湖に反射してるのはモラップ山だと思う。



朝ごはん。
山の上の朝ごはん



お腹いっぱいになったら、当然のように二度寝する。
なんたってまだ4時なんだよ。


しかし日が高くなるにつれテントの中はぐんぐん気温が上昇し、のどが渇いて目が覚めた。
こんなところで貴重な水を消費するわけにはいかないので、7時半にホロホロ山へ向けて出発。


徳舜瞥山を下る。
徳舜瞥山を下ってホロホロ山へ。

あれれおかしいなー。
もっとカッコイイ画になるはずだったのにこりゃどう見ても、アレだなぁ。


スピード感あふれるタチグリ直滑降になる予定だったんだよ。
スピード感あふれるタチグリ直滑降になる予定だったんだよ。



吊り尾根の鞍部から見上げるホロホロ山。
吊り尾根の鞍部から見上げるホロホロ山。

晴れた朝に稜線を歩くというのは、もうそれだけで無条件に気持ちがよくて、ハッピーな気分になってしまうんだ。
だって今この山にいるのはぼく一人だけ。
ボヘミアン・ラプソディーを全開で歌って、鳥たちが一斉に逃げ出しても、文句を言うやつはどこにもいない。


ホロホロ山の登りにかかると、徳舜瞥山の端正な姿が見えてくる。
ホロホロ山の登りにかかると、徳舜瞥山の端正な姿が見えてくる。



見た目ほど遠くはなく、徳舜瞥山から歩くこと30分、ホロホロ山に到着。
以外にも、こちらの方が山頂っぽい風景だった。



    ・ホロホロ山の頂上からの景色

      QuickTimeVR版(高画質) はこちらをクリック  QuicktimeVR版 (高画質)はこちらをクリック(1492KB)
      Flash版(中画質) はこちらをクリック  Flash版 (中画質)はこちらをクリック(1473KB)




こりゃすごいや丸見えだ。
支笏湖のまわりには、恵庭岳、風不死岳、樽前山。
札幌岳に空沼岳、雪が残ってるのは無意根山と余市岳だな。
近くの方だと、白老岳、オロフレ山、それから伊達の紋別岳と稀府岳も。
それにしても、ここまで離れてもやはり羊蹄山の存在感は大きいなぁ。


こうして見ると、近くに山が少ないおかげで、遠くの山まで見わたせるというのがよくわかる。
たしかに平地からでも、この二つの山は、けっこう遠くからでも見えるのだ。


さてそろそろ徳舜瞥山に帰ろう。
早起きのハイカーが登ってくる前にテントをたたまないといけない。


昨日すれ違った人が言ってたのだが、この吊り尾根はもう少しすれば花畑になるそうだ。
今はまだ雪も残り、ようやく早春の風情。

ヒメイチゲ
ヒメイチゲ



下山中、大勢のハイカーとすれ違った。
ぜんぶで20人ぐらいになるだろうか。
休日の山なら、それぐらいいても不思議じゃないが、今日は平日だ。
人気の山なのだ、ここは。


軽快に下っていると、前方から背の高い積雲が徒党を組んで押しよせてくる。
雲の下で雨が降っているのが、遠くからでもよく分かる。


森に入ったところでザバーっと降られる。
森に入ったところでザバーっと降られる。




森の芳香がぐっと強くなって、足もとの草も、木々のこずえも、空を覆う葉も、こころなしか喜んでるように見える。
ぼくもだんだん、楽しくなってきた。


だからって、雨の山歩きもいいもんだなんてことは、言わない。
ちゃんと聞こえてるんだよ。
山とか森とか、それからブロッケンの妖怪にも、聞こえてる。
だから静かに、雨は嫌だなぁと言いながら、山を下りていった。

投稿者 hamayo : 23:30 | コメント (6) | トラックバック (0)