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2008年01月17日

狩勝山の白さに魂を奪われた朝

 
目が覚めたのは寒さのせいだ。


テントの入り口を開けて見上げると、夜明け前の空の所有権をめぐって星々と太陽とが争っている。
幾千もの星が核融合の炎で輝いているというのに、ぼくたちにその熱はまるで伝わってこない。
だからぼくは太陽を応援する。


風の咆哮は昨日にも増して高く響いている。
この風の向かう先に、きっと温度のブラックホールがある。
質量はない。
世界中の温度を奪い取ろうとする、絶対零度の特異点があるだけだ。
その特異点がもしも地球外にあるのなら、この星は救われるかもしれないな、などと思いながら風を見る。


やがて太陽は勝利をつかみ、ぼくたちは生き返りました。
よこ


生きていることに感謝する朝
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J君のBARIGOは極低温下では正常動作しないらしく、昨日は突然リセットが掛かってました。
なので正確な気温は分かりませんが、高く見積もっても -20度にはなっていると思われます。
昨夜から吹き続ける暴風はさらに体温を奪い、体感温度はそれをはるかに超えています。


テントの中は霜の世界。
大黒柱は、この細い一本のアルミポールです。
HEX3のアルミポール


朝食はお汁粉です。
もちろんアンコは十勝小豆。
これがまた重かった。


まだまだ正月気分。
汁粉


顔は汚いが餅はきれいだ。(ジェームスだけど)
顔は汚いが餅はきれいだ


それともうひとつ、J君が持ってきたピザパン。(ミックだけど)
ピザパン


お汁粉にピザというミスマッチは、山ではなんら違和感ありません。
むしろ塩昆布代わりのピクルスに、助演男優賞をあげたいくらいです。


お汁粉で体を暖めたら、山頂を極めるべく空身で出発します。
極めると言っても、目と鼻の先ですが。


早朝の光を浴びて、ツボ足で一歩一歩。
ツボ足で山頂をめざす


風に叩かれクラストした雪面だけど、不用意に荷重をかけると雪の下の笹薮の空洞に引きずり込まれるという、難儀な登行を強いられます。
絶対にスキーでは踏み入れたくない雪面です。


稜線上では風はさらに強く、ときどき体を倒されます。
強風に煽られて倒れる


頂上は目前。
頂上目前


山頂に着いてまず目に飛び込んできたのは、白く輝く狩勝山の麗姿でした。
狩勝山の麗姿


天の川をはさんで向かい合う織姫と彦星のように、狩勝峠をはさんで佐幌岳と対峙する狩勝山。
夏道がないせいか佐幌岳ほど登る人もいないようだけど、なかなか美しい山じゃないですか。


ぼくが初めて読んだ小説はたぶん、北杜夫さんの「白きたおやかな峰」です。
ディラン峰とは比べるべくもないけど、狩勝山の白い輝きはぼくにあの小説を読んだときの記憶をよびおこしました。


832m峰からの狩勝山

(469KB;要Flash;別窓で開きます)


東に目を転じれば、雪煙の向こうおぼろげに、地平線まで広がる十勝平野。
雪煙の向こうに十勝平野

きっとあちらは十勝晴れだ。


テントへの帰り道。
ココロのおもむくまま、好きな場所にテントを立てられるのが冬山の魅力です。
テント場を見おろす


気が付けばもう10時半。
時間はあっという間に過ぎていきます。
それが楽しい時間ならなおのこと速く。


こんな寒いところからさっさと退散したい気持ち半分。
名残惜しく去りがたい気持ち半分。
荒れ狂う風に翻弄され、決して平和とはいえなかったけれど、安全な一夜を過ごさせてくれた HEX3に感謝しつつ、撤収しました。


サンクス、HEX3。
サンクス、HEX3


さてこれからは転倒王の時間です。
だけど残念ながら、今日ばかりはこけるわけにはいかない。


今日だけは・・・こけるわけにはいかない

こんな荷物を背負ってこけたりしたら・・・

転倒ショーはまたの機会に


それはJ君とて同じ事。


こんな笹ヤブ斜面で顔面制動でもしようものなら。
こんな笹ヤブ斜面で顔面制動でもしようものなら


一度は尻餅ついたけど、安全第一で神田鍋を守りながら。
安全第一で神田鍋を守りながら


こうしてマイナス20度でのチャンコ鍋キャンプは幕を閉じました。
それはそれは非日常的なナベでした。
ふざけてるように見えるけど、本人達はいたって真面目にチャンコ鍋キャンプを楽しんでいます。
やはり冬のキャンプと鍋料理の相性はピッタリでした。


そしてもうひとつ、HEX3の実力をしっかりと体感できたのも大きな収穫です。
マイナス20度でのチャンコだから結露は必至だけど、ひとたび幕体の下部を開けて風を入れればたちどころに湯気が消えてゆく、ウワサに違わぬ換気の良さ。
脱ぎ着が面倒なスキー靴を履いたままズカズカ上がりこんだり、炊事や調理の排水をそのまま捨てられたり。
「冬のキャンプに‘底’は不要」は、正しかったです。
重たい山岳テントから脱却できることで行動範囲が広がるだけでなく、そのことが分かっただけでキャンプへの思いもぐっと広がります。


そう何度も冬の山で寝泊りする機会はないだろうけど、いずれまたHEX3には活躍の場が与えられることでしょう。
神田鍋もまた同様に。
それまで少しのあいだ、オヤスミナサイ。



オマケ!
温泉卓球


帰りに寄った湯の沢温泉で卓球ざんまい。
J君もぼくも中学時代に卓球部だったため、「両面アンチラバー」という斬新なラケットしかないここでも、温泉卓球とは思えぬ好ゲームを繰り広げたのです。


あまりにエキサイトしたおかげで、週明けはなぜか足ではなく右腕が筋肉痛・・・。

投稿者 hamayo : 2008年01月17日 20:48

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コメント

風を遮るテントの心強さ、マイナス20℃の冷気から身を守るシュラフのありがたさが身にしみたキャンプでしたな。
まー、何にせよ、目覚まし代わりのオサーンがおって良かった。
ワス一人なら、朝日とゆう刹那は逃していたことであろう(笑)

ドーム型至上主義の日本にあって、底なしモノポールテントは異端児やけど冬にはサイコーやね。
あの居住空間の広さは驚異的ですわ。
ワシも欲しいなったけど、オサーンもってるし、まーええか。

来年は幌加内峠南東の653峰あたりでキャンプして、マイナス30℃
の世界にこの身を落としてみたいな(むふふ)

投稿者 J : 2008年01月18日 09:11


いやぁ〜 本当にこのシーズンを楽しんでいますね

東京は全然雪が降りません。

この時期でも雪が有りません、っていうか東京では見ていません。

例年だったらクリスマス時期には1回は降るのにな・・・

投稿者 バオヤッキー : 2008年01月18日 21:25


to J君

自分で自分をワロタのは、HEX3の中でズボンを脱ぎ着するときやね。
立って履き替えられるだけの高さがあるのに、ついついいつものテントのクセなのか座ったまま履いてるんよね。

来年はぜひ、アンダー マイナス30度でキャンプしたいですな。
とはいえ北海道で-30度を下回ったのは二期ぶりらしいけど。


to バオヤッキーさん

コメント返しが遅れた甲斐あって?、東京でも雪が降ったんじゃないでしょうか。

山に雪が積もると、夏の間には行けないような場所にすいすいと歩いていけるので、ホントに楽しいですよ。
でもやっぱ町には降って欲しくないなぁ。

来週の休みは屋根の雪下ろししないと・・・。

投稿者 hamayo : 2008年01月21日 23:28


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