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2008 - 5 /31

野良仕事のあとはケーキを焼いて



ニンジンと、インゲンマメと、コマツナの種蒔きをする準備をして、竹で垣根をたてて、球根にお礼肥えをやって、オレガノを刈り取って、昼ごはんを食べたあと、チーズケーキを焼きました。


焼きたてのチーズケーキ


冷蔵庫でキリッと冷やしたら、コーヒーでいただこうか、紅茶でいただこうか。
あ、紅茶のポット、こないだ割ってそのまんまだったっけか。

投稿者 hamayo : 15:39 | コメント (6) | トラックバック

2008 - 5 /21

伏美岳で山の怒りを買う



見えないものが見たくなるというのは、たぶんぼくだけが持っている特異な性質というわけではないと思います。
久山岳の後ろに隠れててアタマしか見えない伏美岳の全容を、どうしても見たくなったのです。


朝4時半に起きたにもかかわらず、登山口に着いたのは8時をすぎていました。
辻と辻との距離がハンパなく離れてるという十勝マジックの罠にはまったのと、伏美岳登山口への道が思いのほか分かりづらかったのが原因ですが、テント場であまりにゴロゴロしすぎたのも大きく影響してるでしょう。


たぶんベテランの山屋さんなら、楽に2時間は早く行動できるはず。
この2時間の差であとあとひどい目に遭おうとは、のんきなぼくにはまるで分かっていませんでした。


キャンプ地を出るときには見渡すかぎり青一色の空だったのが、車を走らせてるうちに山々のピークの上空に小さな雲がプカプカ浮かびはじめ、登山口に着くころには天候悪化の兆候が感じられるまでになっていました。


1/500秒で時間を切り取れば、絶好の登山日和にしか見えない。
絶好の登山日和?


850hPa高層天気図と昨日のこの地方の天気の推移、それに今日の朝からの観天望気をあわせて考えれば、午後2時くらいには雨が降り始めることが予想されます。
この予想は、ある部分では大当たりし、ある部分では見事に外れました。


外れたのは、'雨が'降るという部分
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伏美岳の地図
伏美岳GPSトラック

伏美岳トレイル断面図


登山口の標高は約700m。
山頂まで1100m弱の一気登りの始まりです。
傾斜がゆるいのは最初だけで、残雪に埋まる小さな谷をまたぎ、トレイルが南に向きを変える標高800m地点から先は、直登の見本のような登りが続きます。


8時52分 941m地点
つねに尾根筋を歩くので見通しはわりといいです。
5月の尾根は見通しがよい

とはいっても樹林帯の中なので、あと半月もすれば鬱蒼とした森になって、まわりの風景を楽しみながら歩くことは出来なくなるでしょう。


ジグとかトラバースとかスイッチバックなんてものとは縁のない本気の直登なので、一歩一歩と登るたびに遠くが見えるようになり、飽きることがありません。
ただそれと同時に、休憩するような場所もなかなかないのです。


9時08分 1084m地点
3合目から見える久山岳。
3合目から見える久山岳


標高が1000mを越えたあたりからちらほらと残雪が見え始めますが、標高1200m地点からのわずかな距離だけ、つかのまの平坦地になります。
今までの登りとこの先のさらなる登りを思えば天国のような場所で、テントを張れるようなところも少しならあります。


9時33分 1211m地点
つかのまの平坦地
つかのまの平坦地


そしてこの平坦地から先、いよいよ本格的な残雪があらわれます。
夏道は尾根筋のわずかに北西側に付いていて雪はありませんが、数メートルの藪をへだてた南東側には雪がたっぷり残っていて、ぼくはより見晴らしのいい雪の斜面を登ることにしました。


9時40分 1230m地点
雪の上を歩くのはやっぱ気持ちいい、けど、
残雪を踏みしめて

すでに青空は遠くに去り、あたりは薄暗く、そして空気もひんやりしてきました。


標高1400mを超えると、夏道はもうどこにもありません。
雪の斜面を行くよりほかないのです。
ストックを腰丈まで短くし、四つ足で登ります。


10時25分 1492m地点
向こうの山には陽が当たってるが、夏山JOYな雰囲気はどこにもない。
向こうの山にだけ陽が当たってる


すると、雪をふむ足音以外に、カラカラという音が時おり聞こえてきます。
ついに降り始めたのです。
でもそれは、雨ではなく、霰でした。
霰が木の枝に当たる音が、カラカラと聞こえてきていたのです。


山頂ははっきりと見えるし、十勝平野はまだ晴れているので、いましばらくは持ってくれそうですが、もはや天気が回復する見込みはありません。
ここから先のピッチを上げるために今日最初の休憩をとって、行動食を多めに食べます。


10時49分 1638m地点
カッパをの上下を着込み、いざ再スタートです。
カッパの上下を着込んで再スタート


落ちてくる霰は、ときに雨に、ときに雪へと変化して、春の山を甘く見ていたぼくに引き返す口実を与えてくれるかのようです。


傾斜はさらに上がり、息は乱れ、指は凍え、手足の筋肉がパンプしはじめます。
もう風景を楽しむ余裕もなく、足元の雪だけを見つめての登高が続きます。


11時14分 1760m地点
南側の林が切れて妙敷山が姿をあらわすと、いよいよ日高の稜線です。
妙敷山へ続く尾根が見えてきました


山頂はもうすぐそこです。
短いハイマツの回廊を進むと、山頂標識が見えてきました。


そして11時30分、1792mの伏美岳に到着です。
ジェームスのお面は笑ってるけど、ホントのぼくはかなりヤラレてます。
伏美岳山頂


疲れた体を休める前に、ぼくは日高の山々の大展望に息を呑みました。
西も東も南も北も、どこまでも続く山また山、そして深い谷。
大雪山を北アルプスにたとえるなら、いうまでもなく日高は南アルプスです。
なんという大きな山脈。


伏美岳からのパノラマ

(1244KB;要Flash Player ver8.0.24 or later;別窓で開きます)




白いものがパラパラと降ってくる山頂で、この大パノラマを眺めながら、清水のパン屋で買ったメロンパンとアンドーナツの昼食です。


重い目して持ってきたミルで豆を挽き、プレスでいただく至福のコーヒーは、シティローストで煎り止めたトラジャ・カロシ。
プレスでいただく至福のコーヒー


マンデリンなんかもそうだけど、インドネシア産のヘヴィメタリック&ハードロッキンなお豆さんは、プレスで淹れると別次元の重厚さを味わえて、山頂コーヒーにうってつけです。


できることなら、2時間でも3時間でもここに留まっていたいという思いは強いですが、もうじき天気が荒れだすのは明々白々。
下山の仕度にかかります。


山頂にはぼく以外に、「十勝こまくさ会」の方々がおられました。
先生と呼ばれていた男性がひとりと、女性3人からなる4人パーティで、たぶん男性の方がリーダーなんだろうけど、みなさん経験豊富な山ヤさんのように見受けられました。
少しばかり立ち話をしたあと、ぼくより先に下りて行かれました。


風がどちらから吹いていて、雲がどこから湧き上がっているかを確認し、今どこの山に雨(あるいは雪)が降っているかをしっかり観察し、ぼくも10分遅れで伏美岳の山頂をあとにしました。


前ばかり見て歩いてきた登りではあまり気にも留めてなかったけれど、けっこう急な下りです。
けっこう急な伏美岳の下り道


靴底グリセードがぐんぐん加速していくほどの斜面は、コケどころが悪いと一気に滑落するおそれもあるので、足と心にブレーキをかけて、安全第一で下っていきました。


標高1607m地点で、立木にピンクテープを巻いている「十勝こまくさ会」の方たちに追いつきました。
雪面に突いたストックのバスケットが、雪の中で外れてしまったとのこと。
雪がとけたらテープを目印にバスケットを探しに来るそうです。
買ってもたいして値の張るものではないけれど、見捨てていけばゴミになるだけです。
見習おうと思っても、なかなか出来ることではないなぁ。


「十勝こまくさ会」の方々を追い越してしばらくすると、上空がどんどん暗くなってきました。
と、その刹那、、、、、ズドーン!!
ついさっきまでいた稜線のほうに落雷したようです。


こりゃヤバいわ。
空気が震えてやがる。
炸裂音は、しばらく谷間を縦横にこだましてから、山に吸い込まれていきました。
のんびりなんてしてられない。
山が本気で怒り出す前に帰らないと。
膝をかばう事も忘れて、足を大車輪にして山を駆け下りていきました。


無事に里までたどりつき、おそるおそる振りかえって見た伏美岳は、「また来いよ」と手招きしているように見えました。
山を振りかえる


終日快晴の山歩きも楽しいけれど、ケガしない程度にハプニングに見舞われるのも悪くないものです。
今回の伏美岳の記憶も、海馬の襞の奥深くにまで刻み込まれ、きっと思い出深い山旅になることでしょう。
10年後、深煎りのトラジャを口にしたとき、思いがけずこの伏美岳の思い出がよみがえってくる。
そんな日が訪れるのなら、これほど幸せなことはありません。

投稿者 hamayo : 22:47 | コメント (6) | トラックバック

2008 - 5 /19

夏が来る前に日高の山へ



例年になく雪解けが早い北海道の山。
木の葉が生い茂る6月になってしまう前に、見通しのいい尾根を歩いておこうということで、昨年のペラリ山に続いて日高の山に登ることにしました。


日高といってもこの長大な日高山脈、名のある山だけでも大変な数になるのですが、今回はそのなかでも北の方にある、剣山久山岳伏美岳芽室岳、のどれかってことで、十勝の国に入ってからこの目で山を見て決めることにしました。
ちゃんと4山ぶんの地形図を持って。



雨は降らない予定だが
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そんなわけで、高速に乗らずにわざわざ274号線で日勝峠を超えたのが午後の2時半。
十勝側に出た途端、夏の夕方を思わせるようなどしゃぶりの雨が降っていましたが。
午前中は晴れていたそうなので、午後に入り大気が不安定になっていることがわかります。


清水の町に下りると雨は降っていませんでしたが、振り返って見た日高の山々は雪をいただいていました。
時間も時間だし、今夜の寝床をさがします。
学生時代のイカダ下り以降、何度となくお世話になった十勝川へ。
十勝川に架かるたくさんの橋の近くには、キャンプ場になんて行かなくても、いい野宿ポイントがいっぱいあるのです。
今回は剣山と久山岳の登山口に近い、御影の「十勝橋」上流の川原にテントを張りました。


こっちは晴れてるけど、山は雲の中で見えません。
DSC_1572.jpg


山登りの準備はおおかた家ですませてきました。
でもコーヒーだけは、煎らないと無いのです。


あしたのために、豆を煎る煎る。
DSC_1570.jpg


十勝のでっかい空の下で焙煎するコーヒーはまた格別の香りですが、すっきりしない山の天気や残雪を考えると心は晴れません。


峠を下りる途中、第一展望台をすぎて最初に見えるペケレベツ岳(1532m)は、いまだその半身以上が雪におおわれていて、雪山のたたずまいでした。
ここいらの山では標高1100mあたりから上は、まだまだ多くの雪が残っているのです。
となると、標高1700mを超える伏美岳と芽室岳は、どう考えても夏山気分で歩ける雰囲気じゃなさそうです。


でも見えない山を相手に思案してもしょうがないので、夜が明けてから考えることにしました。
山の雨があがり、朝のひかりが東から山を照らしてくれたら、すべては手にとるようにはっきりとするでしょう。


明日の朝、日の出とともに起きるために、日没とともに就寝します。
DSC_1575.jpg






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耳栓を持ってきたおかげで熟睡を得ることが出来ました。
ぼくのテントの上空で、ひと晩中オオジシギのディスプレイフライトがくり広げられたのですから!。
耳栓がなかったらほとんど寝られなかっただろうな・・・。


起きがけの一杯。
DSC_1582.jpg

浅煎りのクリスタルマウンテンをペーパードリップで。
透きとおる酸味と甘い香気で目覚めスッキリ。
テント脇の丘にのぼって山を見ます。


早朝の日高のやまなみ。(クリックで拡大)
早朝の日高のやまなみ


思った通り、剣山にはまったく雪はありません。
久山岳にはほんの少し雪が残るようです。
芽室岳はとうぜんもっと雪があって、とくに西峰なんて完全に雪山です。
伏美岳はここからは遠いので、白い山頂部がちょびっと見えているだけでよく分かりません。


よーし、決めた。
あの山にしよ。


・・・つづく

投稿者 hamayo : 21:10 | コメント (6) | トラックバック

2008 - 5 / 5

オオウバユリを食す



銭函天狗山の下山路の、まだ融けきらない残雪の谷で、オオウバユリを採集してまいりました。
庭に植えるとかそういうんじゃなくて、食べるためです。


なかなかグロテスクなんです
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鱗茎をムキムキして食べるので、しっかり土を落とします。
オオウバユリの鱗茎の土を落とす


表面が黒くなってるところはナイフではぎ取ります。
チンゲンサイの下のほうみたいな感じで、割るようにむいていきます。


アク抜きが手間なので天ぷらにして食べました。
オオウバユリの天ぷら


ジャガイモ風味のタマネギみたいな味で悪くないけど、けっこう繊維質なので食べ過ぎると便通さわやかになりすぎるかも。
どっかで食べたことのある味だなと考えてたら、こりゃユリ根です。
ユリ科だもんな。
かなりワイルドなユリ根ではあるけど。


でんぷんが多そうなので、すりつぶしたものを揚げ物の衣にするとか、お好み焼きの生地に混ぜるとか、いろいろ夢はふくらみますが、失敗だったときの損失を考えるとなかなか手が出せません。


オオウバユリは、7年かけてようやく花を咲かせるという、セミのような植物なのです。
晩秋の野山で、すっくと背を伸ばして立ち枯れたオオウバユリを見つけると、ついつい振り回して遊びたくなるものですが、あれは7年間一生懸命がんばったオオウバユリの最期の姿なんですね。
そう思ってあらためて見なおしてみると、さながら弁慶の立ち往生のようにも見えてきます。


立ち枯れたオオウバユリ


「いただきます」「ごちそうさま」。
ぼくたちの体は、ほかの生物の生命によって保たれているということを再確認できた、春の夕餉でした。

投稿者 hamayo : 18:02 | コメント (4) | トラックバック