« 細尾根の藪テレ、そして老人の記憶 | メイン | 小樽の町に向かって »
2010 - 3 /14
谷ルート、滑降、裏山の奇跡
谷をまっすぐ詰めていくこのルートは、地形図から読み取れる3つのルートのうち、残された最後のものです。
谷の最上流は、この山の胸板ともいうべき大きな壁に吸いこまれるので、最後には右か左に逃げる必要があります。
問題は、どこでどのようにして谷を出るのかということで、ルートファインディングは今までよりも少しやっかいです。
めずらしく晴天で迎えた朝、谷に日が差し込まないうちに遠くまで進もうと、いつもより早めの出発です。
前回、帰路に使った谷の右岸はあまりにひどいので、地形図を見てもわりと傾斜の緩い左岸を進むことにします。
かなり重量級の動物のようで、足あとは完全に踏み固められていて、これについていけばまったくスキーが沈みません。
しばらく行くと、この足あとの持ち主がいた痕跡が見つかりました。
昨夜から今朝までの降雪を考えると、ついさっきまでここにいたと思われます。
そして出会いは唐突にやってきました。
「木が歩いてる!」と思うな否や、右側20mほどさきを巨大な角を持ったオスのシカが悠然と歩いていたのです。
悠然、まさに悠然とです。
ぼくの出現に驚いた様子もなく、もちろん逃げるわけでもなく。
「あんた居ようが居まいが、俺はここを通る」とでも言うかのように。
野山を歩いてて、シカと遭遇することはしばしばありますが、ここまで立派な角を持ったシカを間近に見たことはありません。
その迫力に小さからぬ怖れを感じて、ただただ立って見ていることしかできませんでした。
この場から立ち去ろうと思ったけど体が動かなかった、というのが正しいかもしれません。
シカを見送ったあとも、すこし興奮気味で谷を詰めていきます。
谷は沢となり、上流に行くにしたがってより細く険しくなっていきますが、今いる左岸はそれより一段上の、広く大きな鍋底のような地形へと変化し、気がつくと見晴らしのよい場所に出ていました。
胸板の壁は目前に迫っていました。
向こう岸には四ツ峰の尾根も見えていましたが、谷底の水の流れは遠くからでもはっきりと見え、渡ることはできなそうです。
最初に挑戦した岩稜ルートのほうを見上げると、今いる鍋底谷は、水の流れとは別にこの尾根の方へと向かっていました。
傾斜は急ですが木も疎らな斜面がずっと続き、おそらくMさんの言う「滑降のコース」というのは、この谷状の場所だと思われます。
GPSと地形図とを対照すると、ちょうど2番目の岩塔のあたりに出られそうでした。
うまく岩塔の上部に出られればゴールは目前です。
キックターンもままならない密林を、雪庇の弱点を探しに右へ左へ。
ようやく見つけた小窓から、飛び出した稜線に岩塔は右か左か・・・。
しかし眺めはバツグンです。
もちろん帰りは「滑降のコース」にチャレンジです。
裏山の奇跡、その1
おっかしーなぁ、こんなはずでは・・・。
こりゃホントの奇跡だ。
今度こそはと期待も大きかっただけに、ガックリ度もひとしお大きいです。

それでも見とおしの良いこの尾根に上がれたことで、山頂へ続く道筋がはっきりと見えてきました。
スキーで山頂に出ることができるのは向かいの四ツ峰の尾根しかない、これは断言できます。
そして三角点ピークを経由せずに四ツ峰手前の鞍部に出るためには、今回の谷ルートで高度を上げて、どうにかしてどこかで谷を越す必要があります。
谷が雪で埋まる春、かつ雪が腐る前の数日間、チャンスは一度きりかもしれません。
投稿者 hamayo : 2010年3月14日 16:19
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 谷ルート、滑降、裏山の奇跡
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cosmeticpunk.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/379











コメントする